小選挙区比例代表並立制違憲訴訟

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小選挙区比例代表並立制違憲訴訟(最大判平成11・11・10)

:要約p.241・243、百選Ⅱ(第5版)165事件p.344、百選Ⅱ(第6版)157事件p.336、伊藤77事件p.548

 

小選挙区比例代表並立制が導入されて初である1996年の衆議院議員総選挙後、新制度の合憲性を争う一連の選挙無効訴訟が提起された事件。

 

争点 衆議院小選挙区比例代表並立制は、合憲であるか

結論 合憲である

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「国会は、その裁量により、衆議院議員及び参議院議員それぞれについて公正かつ効果的な代表を選出するという目標を実現するために適切な選挙制度の仕組みを決定することができるのであるから、国会が新たな選挙制度の仕組みを採用した場合には、その具体的に定めたところが、右の制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反するため国会の右のような広い裁量権を考慮してもなおその限界を超えており、これを是認することができない場合に、初めてこれが憲法に違反することになるものと解すべきである」

 

・・・と述べ、小選挙区は死票が多いという欠点はあるが、「死票はいかなる制度でも生ずるものであり、・・・この点をもって憲法の要請に反するということはできない」し、「選挙制度を政策本位、政党本位のものにするという国会が正当に考慮し得る政策的目的ないし理由によるものであると解されるのであって、十分合理性を是認し得る」と判断され、合憲であるし、比例代表制も投票の直接性が薄くなるという欠点はあるが、合憲であると判断されています。また、国会が考慮できる要素について、新たに以下のように言及されています。

 

「選挙区割りを決定するに当たっては、議員1人当たりの選挙人数又は人口ができる限り平等に保たれることが、最も重要かつ基本的な基準であるが、国会はそれ以外の諸般の要素をも考慮することができるのであって、都道府県は選挙区割りをするに際して無視することができない基礎的な要素の一つであり、人口密度や地理的状況等のほか、人口の都市集中化及びこれに伴う人口流出地域の過疎化の減少等にどのような配慮をし、選挙区割りや議員定数の配分にこれらをどのように反映させるかという点も、国会において考慮することができる要素というべきである」

 

※ 本判決は、正確には、同日になされた❶重複立候補、比例代表制の合憲性が争点となった判決(平成11年(行ツ)第8号)一つと、❷小選挙区制の合憲性が争点となった判決(平成11年(行ツ)第35号)等二つの計三つの判決を一緒に取り扱ったものです。