ハンセン病事件

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ハンセン病事件(熊本地判平成13・5・11)

:要約p.180、百選Ⅱ(第5版)213事件p.440、百選Ⅱ(第6版)198事件p.422

 

ハンセン病は、らい菌を原因とする慢性の細菌感染症である。現実にはらい菌に感染しても発病率は低い上、医学の進歩により完治できる病気となっているにも関わらず、らい予防法等では、外出制限や強制隔離等が定められていた。そこで、ハンセン病患者らが、新法制定や法の改廃をしなかった不作為を理由に、国家賠償を求めて出訴した事件。

 

争点 患者の隔離という重大な自由の制限については、立法不作為の国賠法上の違法は認められうるか

結論 認められうる

 

※ 本判決は、地裁判決ですので、判例の立場として理解するには弱いです。それを踏まえた上で、下記を読んで頂きたいと思います。

※ まず、前提知識として、立法行為の国家賠償法上の違法性について、在宅投票制度廃止事件判決(最判昭和60・11・21)が、(立法府に超広範な裁量がある事を前提に、)「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けない」と判示しています。

※ 本判決は、この最高裁の立場を否定はしないものの、「(上記最高裁判決の事案と)本件とは、全く事案を異にする」として、上記最高裁判例は、立法行為一般に及ぶものではないと理解した上で、(仮に最高裁の示した基準でいくとしても)「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している」という上記判示部分は例示にとどまるし、人権侵害の重大性と司法的救済の必要性から、「およそ想定し難いような極めて特殊で例外的な場合」であると認定し、国賠法上の違法を肯定しています。