院内発言無答責事件

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院内発言無答責事件(最判平成9・9・9)

:要約p.256、百選Ⅱ(第5版)187事件p.388、百選Ⅱ(第6版)176事件p.376、伊藤85事件p.605

 

衆議院議員の委員会での発言がきっかけとなって自殺した病院院長の妻が、亡夫に対する名誉毀損を理由として、発言した衆議院議員に対して不法行為に基づく損害賠償請求を、国に対して国家賠償請求をした事件。

 

争点 議員の議院における発言について、国が国家賠償責任を負いうる場合はいかなる場合か

結論 国会議員が権限の趣旨に明らかに背いたような場合

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「本件発言は、国会議員であるYによって、国会議員としての職務を行うにつきされたものであることが明らかである。そうすると、仮に本件発言がYの故意又は過失による違法な行為であるとしても、被上告人国が賠償責任を負うことがあるのは格別、公務員であるY個人は、Xに対してその責任を負わない」

 

・・・このように、国会議員個人の賠償責任を、憲法51条の免責特権の観点からではなく、国賠法1条に関する分析によって、否定しました。

 

「国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、右責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする」