ロッキード(丸紅ルート)事件

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ロッキード(丸紅ルート)事件(最大判平成7・2・22)

:要約p.264、百選Ⅱ(第5版)192事件p.398、百選Ⅱ(第6版)180事件p.384 、小山42事件p.330、伊藤86事件p.612

 

ロッキード社社長の意向を受けた丸紅社長らは、当時の内閣総理大臣に対して、全日空がロッキード社製の大型旅客機の購入を選定購入するよう働きかけ、選定後5億円の供与をした行為が、受託収賄罪等にあたるとして、丸紅社長、内閣総理大臣らが起訴された事件。

 

争点 内閣総理大臣が運輸大臣に対し特定機種の選定購入を働きかける行為は、職務権限の範囲内か

結論 職務権限の範囲内である

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「内閣総理大臣が行政各部に対し指揮監督権を行使するためには、閣議にかけて決定した方針が存在することを要するが、閣議にかけて決定した方針が存在しない場合においても、内閣総理大臣の右のような地位及び権限(=憲法66条・68条・72条、内閣法4条・6条・8条参照)に照らすと、流動的で多様な行政需要に遅滞なく対応するため、内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有する」

「運輸大臣に対する前記働き掛けは、・・・内閣総理大臣の指示として、その職務権限に属する」

 

・・・賄賂罪が、「職務権限に属する」行為について成立する犯罪である事を前提に、内閣総理大臣が運輸大臣に働きかける行為は、「職務権限に属する」か否かが争われた部分に対する判決の応答がこれです。

 

「我が国の刑訴法は、刑事免責の制度を採用しておらず、刑事免責を付与して獲得された供述を事実認定の証拠とすることを許容していない

 

・・・これは、ロッキード社がアメリカの会社であり、アメリカでは司法取引制度があるところ、司法取引により得られた証言は、日本では証拠能力がない事を明言した部分です。