堀木訴訟

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堀木訴訟(最大判昭和57・7・7)

:要約p.187、百選Ⅱ(第5版)143事件p.300、百選Ⅱ(第6版)137事件p.294 、野坂第15章p.283、小山13事件p.98、伊藤67事件p.467

 

原告は、国民年金法別表記載の1種1級に該当する視力障害者として障害福祉年金を受給していたところ、夫と離婚して依頼次男を養育していたため、児童扶養手当法に基づき児童扶養手当の受給資格についての認定請求をしたが、兵庫県知事から併給禁止規定に該当するとの理由で却下されたため、却下処分の取消しを求めて提訴した事件。

 

争点 憲法25条は、いかなる場合に裁判規範となるか

結論 著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用がある場合

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「憲法25条1項は、・・・いわゆる福祉国家の理念に基づき、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営みうるよう国政を運営すべきことを国の責務として宣言したものであること、また、同条2項は、・・・同じく福祉国家の理念に基づき、社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務として宣言したものであること、そして、同条1項は、国が個々の国民に対して具体的・現実的に右のような義務を有することを規定したものではなく、同条2項によって国の責務であるとされている社会的立法及び社会的施設の創造拡充により個々の国民の具体的・現実的な生活権が設定充実されてゆくものであると解すべきことは、すでに当裁判所の判例(=食糧管理法違反事件判決、最大判昭和23・9・29)である」

 

「このように、憲法25条の規定は、国権の作用に対し、一定の目的を設定しその実現のための積極的な発動を期待するという性質のものである。しかも、右規定にいう『健康で文化的な最低限度の生活』なるものは、きわめて抽象的・相対的な概念であって、その具体的内容は、その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものであるとともに、右規定を現実の立法として具体化するに当たっては、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものである。したがって、憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄である」