全農林警職法事件

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全農林警職法事件(最大判昭和48・4・25)

:要約p.197、百選Ⅱ(第5版)153事件p.320、百選Ⅱ(第6版)146事件p.312 、野坂第17章p.321、伊藤71事件p.496

 

警察官職務執行法の一部改正する法律案に反対する立場から、農林省に勤務する職員によって構成される全農林労働組合も、他の労働団体同様、反対運動を展開する事となった。この際、組合役員の被告人らは、勤務時間内に開催される職場大会への参加を慫慂したりしたことから、国家公務員法110条1項17号等により起訴された事件。

 

争点 国家公務員の争議行為をあおる行為を処罰することは憲法28条に違反しないか

結論 違反しない

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「公務員は、私企業の労働者と異なり、国民の信託に基づいて国政を担当する政府により任命されるものであるが、憲法15条の示すとおり、実質的には、その使用者は国民全体であり、公務員の労務提供義務は国民全体に対して負うものである。もとよりこのことだけの理由から公務員に対して団結権をはじめその他一切の労働基本権を否定することは許されないのであるが、公務員の地位の特殊性と職務の公共性にかんがみるときは、これを根拠として公務員の労働基本権に対し必要やむをえない程度の制限を加えることは、十分合理的な理由があるというべきである。」

 

・・・そして、❶公務員の勤務条件は、「労使間の自由な交渉に基づく合意によってさだめられるものではなく、原則として、国民の代表者により構成される国会の制定した法律、予算によって定められる」べきであり、これを左右する争議行為は、議会制民主主義に背馳し、国会の議決権を侵すおそれがあること、❷市場の抑制力が公務員の争議行為には働かない結果、不当に強力な圧力となりかねないこと、❸人事院という代替措置があること等から、「必要やむを得ない程度の制限」として争議行為の禁止及びこれに罰則を設けることはいずれも合憲であるとされています。

 

※ ちなみに、二重のしぼり論は、「とうてい是認することができない」として、完全に否定されており、本判決は、同じく国家公務員の争議行為のあおり行為に関する判断である全司法仙台事件判決を変更したものです。全逓東京中郵事件判決や東京都教組事件判決が変更されたとは、まだ本判決が登場しただけでは断言できません。