三井美唄炭坑労組事件

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三井美唄炭坑労組事件(最大判昭和43・12・4)

:要約p.192、百選Ⅱ(第5版)156事件p.326、百選Ⅱ(第6版)149事件p.318、伊藤72事件p.506

 

三井美唄炭坑労働組合は、美唄市議会議員選挙に際し、統一候補を立てたが、その選出から漏れた組合員が独自に立候補しようとしたため、組合役員であった被告人らは、立候補を断念するよう説得した。しかし、拒絶されたため、組合の統制を乱した者として処分される旨を示し、当該組合員の当選後、現に1年間組合員としての権利を停止する旨通告・公示したため、被告人らが公職選挙法225条3号違反として起訴された事件。

 

争点 憲法28条に由来する労働組合の統制権は、立候補の自由を否定することまで許容しているか

結論 許容していない

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「およそ、組織的団体においては、一般に、その構成員に対し、その目的に即して合理的な範囲内での統制権を有するのが通例であるが、憲法上、団結権を保障されている労働組合においては、その組合員に対する組合の統制権は、一般の組織的団体のそれと異なり、・・・憲法28条による労働者の団結権保障の効果として、労働組合は、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内において、その組合員に対する統制権を有する」

 

「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、きわめて重要である。このような見地からいえば、憲法15条1項には、被選挙権者、特にその立候補の自由について、直接には規定していないが、これもまた、同条同項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである」

 

・・・このように述べ、統制権行使の必要性と立候補の自由の重要性とを比較衡量して、統制の許否を決すべきであり、説得や勧告はできますが、処分をちらつかせ、現に処分するような行為は、統制権の限界を超える違法なものと判示しています。