国籍法違憲判決事件

Pocket

 

国籍法違憲判決事件(最大判平成20・6・4)

:要約記載なし、百選(第5版)掲載なし、百選Ⅰ(第6版)35事件p.74、野坂第21章p.445、小山6事件p.42、伊藤15事件p.113

 

日本人の父とフィリピン人の母との間に生まれた原告は、出生後、父から認知されたことを理由に日本国籍取得届を法務大臣に提出したが、認められなかったため、国を相手に日本国籍を有することの確認を求めて提訴した事件。

 

争点 旧国籍法3条1項は憲法14条1項に反するか

結論 反する

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「是正の方法を検討すると、憲法14条1項に基づく平等取扱いの要請と国籍法の採用した基本的な原則である父母両系血統主義とを踏まえれば、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知されたにとどまる子についても、血統主義を基調として出生後における日本国籍の取得を認めた同法3条1項の規定の趣旨・内容を等しく及ぼすほかはない。すなわち、このような子についても、父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことという部分を除いた同項所定の要件が満たされる場合に、届出により日本国籍を取得することが認められる

「この解釈をもって、裁判所が法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないと評価することは、国籍取得の要件に関する他の立法上の合理的な選択肢の存在の可能性を考慮したとしても、当を得ない

 

・・・「救済方法」に関する部分の抜粋です。以前に取り扱った「国籍法の性差別とその救済方法(東京高判昭和57・6・23)」事件において東京高裁が言及していたように、司法が立法作用を行うことが許されないのは当然であり、前提です。この判示が言いたいのは、旧国籍法3条1項から「嫡出子たる身分を取得したこと」という要件を取り除いた上で、旧国籍法3条1項を有効なものとして適用する行為は、立法作用ではないということです。決して、例外的に司法による立法作用を認めた訳ではないことに注意して下さい。

 

・・・ちなみに、旧国籍法3条1項は、「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であった者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる」とされていましたが、現国籍法3条1項は、上記「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で」という部分が、「父又は母が認知した子で」に変更されておりまして、立法的に解決されています。