国籍法の性差別とその救済方法

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国籍法の性差別とその救済方法(東京高判昭和57・6・23)

:要約記載なし、百選Ⅰ(第5版)36事件p.74、百選(第6版)掲載なし

 

アメリカ人の父と日本人の母の長女として出生した原告は、父系優先血統主義を定めた旧国籍法2条により、日本国籍を取得できなかった。そこで、原告は国に対して日本国籍の確認を求めて出訴した事件。

 

争点 父系優先主義に合理性はあるか、また、父母両系平等主義を裁判所が基準としてよいか

結論 合理性はない、立法府の裁量事項であり基準としてはならない

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「裁判所に与えられた違憲立法審査権は、存在する規定についてそれが違憲であるかどうかを審査し、違憲と判断したときにはこれを無効として、つまりいわば存在しないものとして、適用しないことを本質とする。ある規定が実定法上に存在しないとき、それがいかに憲法上望ましいものであろうとも、違憲立法審査権の名の下に、これを存在するものとして適用する権限は裁判所に与えられていない」

「立法政策上複数の選択肢が考えられる場合には、そのいずれを選択するかは立法者に任せられるべきであり、条理の名によって裁判所が選択決定することは許されない」

 

・・・これは、「救済方法」の問題であり、仮に父系優先血統主義が違憲であるとしても、裁判所は基本的に法律の効力を否定することができるのみで、勝手に父母両系平等主義の観点から法律を再構成した上で事案の解決をすることは許されない、ということです。この理は、後に取り扱う平成20年の国籍法違憲判決の前提にもなっています。

 

・・・ちなみに、旧国籍法2条は、「出生の時に父が日本国民であるとき」として、父系優先血統主義を定めていたが、現在の国籍法2条1号は「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」と規定しており、既に立法上解決しています。