「エホバの証人」輸血拒否事件

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「エホバの証人」輸血拒否事件(最判平成12・2・29)

:要約p.40 、百選Ⅰ(第5版)27事件p.56、百選Ⅰ(第6版)26事件p.56、伊藤13事件p.100

 

原告は、「エホバの証人」の信者であり、宗教上の信念から輸血を拒否していたが、癌と判断され、国立の病院で手術を受けた。この際、原告は輸血拒否の意思を明確に伝えていたが、医師らは緊急時には輸血する方針であったところ、この方針を原告及びその家族には伝えておらず、実際手術中に輸血をする必要が生じ、輸血を実施した。これに対し、原告が診療契約違反や不法行為等を理由に損害賠償を請求した事件。

 

 

争点 輸血を伴う医療行為を拒否する意思決定をする権利は、人格権の一内容として尊重されるか

結論 尊重されなければならない

 

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「患者が、輸血を受けることは自己の宗教上の信念に反するとして、輸血を伴う医療行為を拒否するとの明確な意思を有している場合、このような意思決定をする権利は、人格権の一内容として尊重されなければならない

 

※ 本判決を理解する際に気を付けなければならないのは、「医師らが原告の明示的な意思に反してでも原告の身体を救済した」事の違法性が問題となっているのではなく、「医師らが、いざという時には輸血するとの方針を採っていたのにもかかわらず、それを原告に説明せず、原告が手術を受けるかどうか選択する機会が失われた」事の違法性が問題となっているということです。つまり、説明義務(インフォームド・コンセント)違反が違法性の中心なのです。