前科照会事件

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前科照会事件(最判昭和56・4・14)

:要約p.27 、百選Ⅰ(第5版)21事件p.44、百選Ⅰ(第6版)19事件p.42、伊藤11事件p.87

 

原告は、自動車教習所で働いていたが解雇され、係争中であったところ、教習所側の弁護士が弁護士法23条の2に基づいて原告の前科照会を京都市に行い、その報告を得たため、原告は京都市を相手として、プライバシー侵害に基づく損害賠償を求め出訴した事件。

 

争点 前科等をみだりに公開されないという利益は法律上保護に値する利益か

結論 保護に値する利益である

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「前科及び犯罪経歴(以下「前科等」という。)は人の名誉、信用に直接かかわる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するのであって、市区町村長が、本来選挙資格の調査のために作成保管する犯罪人名簿に記載されている前科等をみだりに漏えいしてはならないことはいうまでもない」

 

※ このように述べ、多数意見は、弁護士会の照会に応じていい場合もあるが、少なくとも今回のように市区町村長が漫然と弁護士会の照会に応じた場合は、公権力の違法な行使にあたるとして、損害賠償を認めました。ちなみに、伊藤正己裁判官の補足意見は、「前科等は、個人のプライバシーのうちでも最も他人に知られたくないものの一つ」と認定し、より厳格な審査を求めています。