『宴のあと』事件

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『宴のあと』事件(東京地判昭和39・9・28)

:要約p.36、百選Ⅰ(第5版)67事件p.136、百選Ⅰ(第6版)65事件p.138

 

作家・三島由紀夫が元外務大臣の政治家とその妻の関係をモデルとした小説「宴のあと」を執筆・出版したのに対し、モデルとなった政治家がプライバシーを侵害するものとして、三島由紀夫らを相手取って、損害賠償及び謝罪広告を求めて出訴した事件。

 

争点 プライバシー権は、憲法13条によって保障されている権利といえるか

結論 保障されている権利である

 

【覚えるべきフレーズ】

 

「近代法の根本理念の一つであり、また日本国憲法のよって立つところでもある個人の尊厳という思想は、相互の人格が尊重され、不当な干渉から自我が保護されることによってはじめて確実なものとなるのであって、そのためには、正当な理由がなく他人の私事を公開することが許されてはならない」

 

「私事をみだりに公開されない(ことの)尊重はもはや単に倫理的に要請されるにとどまらず、不法な侵害に対しては法的救済が与えられるまでに高められた人格的な利益であると考えるのが正当であり、それはいわゆる人格権に包摂されるものではあるけれども、なおこれを一つの権利と呼ぶことを妨げるものではない」

 

「いわゆるプライバシー権は私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利として理解されるから、その侵害に対しては侵害行為の差し止めや精神的苦痛に因る損害賠償請求権が認められる」

 

「プライバシーの侵害に対し法的な救済が与えられるためには、公開された内容が(イ)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること、(ロ)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること、換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによって心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められることがらであること、(ハ)一般の人々に未だ知られていないことがらであることを必要とし、このような公開によって当該私人が実際に不快、不安の念を覚えたことを必要とする」