司法関係の定義集

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【司法】

 

現代型訴訟(制度形成訴訟) 多数の関係者の利害が絡む紛争で、一般的な政策問題を通じて、新しい権利が生成するような訴訟 読本(初版)300頁
★★★ 司法権 具体的な争訟について、法を適用し、宣言することによって、これを裁定する国家作用 芦部(第6版)336頁、読本(初版)306頁
☆☆ 司法権(厳密な定義) 当事者間に具体的事件に関する紛争がある場合において、当事者からの争訟の提起を前提として、独立の裁判所が統治権に基づき、一定の争訟手続によって、紛争解決の為に、何が法であるかの判断をなし、正しい法の適用を保障する作用 芦部(第6版)336頁
民事裁判 私法上の権利義務に関する争いについての裁判 芦部(第6版)338頁
刑事裁判 刑事法を適用して刑罰を科する裁判 芦部(第6版)338頁
行政事件の裁判 行政処分によって違法に権利・利益を害された者と行政機関との間の公法上の権利義務に関する争いについての裁判 芦部(第6版)338頁
★★★ 「法律上の争訟」(裁判所法3条、判例) ①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、②それが法律を適用することによって終局的に解決できるもの(板まんだら事件判決) 芦部(第6版)339頁、読本(初版)306頁
☆☆ 司法権の限界 法律上の争訟にあたるが、事柄の性質上裁判所の審査に適しないと認められるもの。事件性の要件を満たす争訟については、裁判所は司法権を行使すべきなのが原則であるため、司法権の限界は、この原則の例外として、憲法が明文で認めたものか、憲法の解釈によって導かれる場合でなければならない。 読本(初版)308頁
★★★ 統治行為 直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為で、法律上の争訟として裁判所による法律的な判断が理論的には可能であるのに、事柄の性質上、司法審査の対象から除外される行為 芦部(第6版)342頁、読本(初版)309頁
統治行為論の根拠(内在的制約説) 司法権の本質・機能からみて、高度に政治的な問題は裁判所の審査の範囲外にある 読本(初版)309頁
統治行為論の根拠(自制説) 判決によって政治的混乱を招かないよう司法が自制すべきである 読本(初版)309頁
統治行為論の根拠(否定説) 日本国憲法は違憲審査制の採用と同時に政治的問題をも裁判所の法的統制に服せしめようとしたのであり、統治行為論は認められない 読本(初版)309頁
★★★ 部分社会論(判例) 「自律的な法規範をもつ社会ないし団体に在っては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも裁判にまつを適当としないものがある」という考え方 芦部(第6版)345頁、読本(初版)309頁
☆☆ 「特別裁判所」(76条2項) 特別の人間または事件について裁判するために、通常裁判所の系列から独立して設けられる裁判機関 芦部(第6版)347頁
「弾劾」(78条) 訴追すなわち罷免の請求に基づき、公権力が公務員を罷免する制度。裁判官の弾劾についての具体的な手続等は、裁判官弾劾法に定められている。 芦部(第6版)349頁
最高裁判所裁判官の国民審査制度の法的性格(判例) 国民審査制度は裁判官の任命を完成させるものではなく、すでに任命された裁判官をリコールするかどうかの制度である 読本(初版)302頁
☆☆ 「対審」(82条) 裁判官の面前で当事者が口頭でそれぞれの主張を述べること。民事訴訟における口頭弁論手続、刑事訴訟における公判手続がこれにあたる。 芦部(第6版)353頁、読本(初版)310頁
陪審制 一般国民の中から選任された陪審員が、刑事事件の被疑者を正式起訴するかを決定したり(大陪審)、民・刑事事件で事実審理に参加し評決をしたり(小陪審)する制度 芦部(第6版)354頁
参審制 参審員を一般国民から選任し、参審員と職業裁判官とが合議体を構成して裁判をする制度 芦部(第6版)354頁
☆☆ 「良心」(76条3項) 裁判官個人の主観的な良心ではなく、裁判官としての客観的良心 芦部(第6版)357頁、読本(初版)303頁
☆☆ 「独立してその職権を行ひ」(76条3項) 他の何者の指示・命令をも受けずに、自らの判断に基づいて裁判を行うこと。国会・内閣から独立している事のみならず、最高裁や司法行政上の上司にあたる裁判官からも独立している事を意味する。 芦部(第6版)357頁、読本(初版)303頁

 

 

☆☆ 「特別裁判所」(76条2項) 特定の地域・身分・事件等に関して、通常の裁判所の系列から独立した裁判機関。軍法会議や皇室裁判所などが例として挙げられる。家庭裁判所は、「一般的に司法権を行う通常裁判所の系列に属する下級裁判所」なので、「特別裁判所」には該当しない(判例)。憲法64条に定めのある裁判官の弾劾裁判所は、「特別裁判所」に該当するが、憲法自体の認める例外として許容されている。 渋谷「論じ方(第2版)」392頁、398頁
☆☆ 司法(具体的事件性必要説) 当事者間に、具体的事件に関する紛争がある場合において、当事者からの争訟の提起を前提として、独立の裁判所が統治権に基づき、一定の争訟手続によって、紛争解決の為に、何が法であるかの判断をなし、正しい法の適用を保障する作用 渋谷「論じ方(第2版)」400頁、小山「作法(第3版)」210頁
司法(具体的事件性不要説) 適法な提訴を待って、法律の解釈・適用に関する争いを、適切な手続の下に、終局的に裁定する作用。「司法」概念から司法作用の及ぶ対象という要素を除外した上で、具体的事件性は、「司法」概念そのものの問題ではなく、司法作用の及ぶ対象の問題として捉える。 渋谷「論じ方(第2版)」400頁
★★★ 「法律上の争訟」(裁判所法3条1項、判例) 当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって(狭義の事件性)、且つそれが法律の適用によって終局的に解決しうべきもの(終局的解決可能性)。狭義の事件性は、①利害の具体性(紛争の成熟性と紛争の個別性)、②当事者の対立性、③権利義務の存否、の各要素に分析でき、終局的解決可能性は、④争点の法的解決可能性(紛争を解決する尺度が法的に存在すること)、⑤紛争解決の最終性、の各要素に分析できる。 渋谷「論じ方(第2版)」402頁、410頁、小山「作法(第3版)」210頁
司法権概念の論理枠組み 「司法権の概念」または「司法権の範囲」を定義し、その観念あるいは範囲に含まれないものは、司法権がその性質上取り扱えないもの、あるいは司法権の本質的要素に含まれないもの(内在的限界)であると論じ、そのうえで、司法権の概念には含まれるが、他の憲法上の諸原則・規範への抵触等のなんらかの理由によって扱うべきではないものを「司法権の限界」(外在的限界)として論じる。 渋谷「論じ方(第2版)」409頁
民衆訴訟 「国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの」(行政事件訴訟法5条)。公職選挙法における選挙無効訴訟・当選無効訴訟や、地方自治法における住民訴訟が例として挙げられる。 小山「作法(第3版)」213頁
機関訴訟 「国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟」(行政事件訴訟法6条)。 小山「作法(第3版)」214頁
☆☆ 裁判の公開原則(82条1項)の趣旨(判例) 「裁判を一般に公開して裁判が公正に行われることを制度として保障し、ひいては裁判に対する国民の信頼を確保しようとすること」にあり、「各人が裁判所に対して傍聴することを権利として要求できることまでを認めたものでない」(レペタ事件判決)。 渋谷「論じ方(第2版)」312頁
「公の秩序又は善良の風俗を害する虞がある」(憲法82条2項) 社会公共的な害悪、つまり対審を公開することが、公衆を直接に騒擾その他の犯罪の実行にあおるおそれがある場合とか、わいせつその他の理由で一般の習俗上の見地から公衆にいちじるしく不快の念を与えるおそれがある場合 渋谷「論じ方(第2版)」314頁