内閣関係の定義集

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【内閣】

 

「行政権」(65条、通説) すべての国家作用のうちから、立法作用と司法作用を除いた残りの作用 芦部(第6版)322頁、読本(初版)284頁
「行政権」(65条、積極説) 法の規制を受けながら、現実具体的に国家目的の積極的実現を目指して行われる全体として統一性をもった継続的な形成的国家活動 読本(初版)284頁
「行政権」(65条、執政説) 行政機関内部を、国民によって選ばれた政治家から構成される内閣と、官僚等の一般公務員から構成される「行政各部」(72条)に区別し、内閣の本来の任務は、単なる法の執行ではなく、総合調整、外交、財政といった高度の政治作用としての執政である、とする。 読本(初版)285頁
「行政権」(65条、協働執政権説) 執政説を前提としながらも、議院内閣制は、内閣と国会との間に必然の相互関係を持たせて、統治の基本方針を一致させようとする体制であることを考慮に入れ、執政権は内閣の専権ではなく、国会と協働行使される、とする。 読本(初版)285頁
「行政権」(65条、法律執行説) 法の支配を実現すべく、法の忠実な執行を確保するためには、権力分立として法定立、法執行、法裁定の区別が必要となることから、行政権は法律の執行と解すべきである、とする。 読本(初版)286頁
独立行政委員会 特定の行政について、政党・内閣から中立的な立場においてその職務を行う、合議制の行政機関 芦部(第6版)323頁、読本(初版)287頁
文民統制の原則 軍事権を議会に責任を負う大臣(文民)によってコントロールし、軍の独走を抑止する原則 芦部(第6版)326頁
「文民」(66条2項) 自衛官でない者。憲法制定当時は職業軍人の経歴のない者と解されたが、自衛隊の創設以降は、自衛官でない者をいう、と解される。 読本(初版)290頁
★★★ 内閣総理大臣の「行政各部を指揮監督する」権限(72条、判例) 閣議にかけて決定した方針が存在しない場合でも、「少なくとも内閣の明示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務について一定の方向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限」を有する(ロッキード事件丸紅ルート判決) 芦部(第6版)326頁、読本(初版)289頁
閣議 国務大臣全体の会議。慣習により、議事は全会一致で決める事とされている。 芦部(第6版)328頁
☆☆ 「内閣総理大臣が欠けたとき」(70条) 死亡した場合、総理大臣となる資格を失ってその地位を離れた場合のほか、辞職した場合を含む 芦部(第6版)329頁
「国務を総理する」(73条1号) 内閣が「政治」の中心として、政策を立案し、政治全体の総合調整を図りながら、それを実施すること 読本(初版)291頁
「恩赦」(73条7号) 犯罪者を放免すること 読本(初版)293頁
「解散」(69条) 議員のすべてについて、その任期満了前に議員としての身分を失わせること 読本(初版)293頁
☆☆ 解散の実質的決定権の所在(通説、実務) 天皇の国事行為は本来的に形式的儀礼的な行為であるわけではなく、内閣が「助言と承認」(7条)を通じて実質的決定を行う結果として、天皇の関与が形式的儀礼的なものになる、という7条の解釈を背景に、7条を根拠として内閣に実質的決定権を認める。 読本(初版)293頁
解散の実質的決定権の所在(69条説) 解散の実質的決定権については憲法典に欠陥があるものの、69条から内閣不信任決議があった場合には内閣が解散を決定しうることが推測でき、行政権は憲法典上明示された権限のみを行使しうるとの立憲主義の通則からすれば、内閣は69条所定の場合にのみ解散を決定できる、とする。 読本(初版)294頁
解散の実質的決定権の所在(65条説) 行政権概念の控除説の立場から、衆議院の解散は立法作用でも司法作用でもない以上、行政作用であるとして、65条により行政権を有する内閣の権限に属する、とする。 読本(初版)294頁
解散の実質的決定権の所在(制度説) 日本国憲法が採用している議院内閣制および権力分立からすれば、衆議院の倒閣権に対応して、内閣に衆議院の解散権が与えられている、とする。 読本(初版)294頁
解散の実質的決定権の所在(自律解散説) 国会の最高機関性から、衆議院自らの議決による自律解散を原則とし、例外的に69条所定の場合に限って内閣による衆議院の解散が認められる、とする。 読本(初版)294頁
大統領制 議会と政府とを完全に分離し、政府の長たる大統領を民選とする制度 芦部(第6版)330頁、読本(初版)280頁
議会統治制 行政権を担う内閣は議会内の一委員会と位置付けられ、議会に完全に従属し、辞職の自由さえない、とする制度。直接民主制を前提とするものであって初めて、議会統治制を民主主義の徹底として評価可能となる。スイスが採用している。 読本(初版)281頁
☆☆ 議院内閣制 議会と政府が一応分立していることを前提に、行政権を担う内閣が議会に対して政治責任を負うという制度 読本(初版)281頁
☆☆ 議院内閣制の本質的要素(責任本質説) 議院内閣制の本質は、①議会(立法)と政府(行政)が一応分立していること、②政府が議会に対して連帯責任を負うことの二点だとして、政府の議会に対する政治責任に着目する考え方 芦部(第6版)331頁
☆☆ 議院内閣制の本質的要素(均衡本質説) 議院内閣制の本質には、①議会(立法)と政府(行政)が一応分立していること、②政府が議会に対して連帯責任を負うことに加えて、権力の均衡の要素を重視し、③内閣が議会の解散権を有することも含まれる、とする考え方 芦部(第6版)331頁
「国民内閣制」論 機動性の優れた内閣を「政治」の中心に位置づけつつ、国民主権を実質化すべく、選挙を通じた国民による政策選択を可能ならしめる議院内閣制の直接民主制的運用を構想するもの。議会を「政治」の中心に据える議会制民主主義論と対置される。 読本(初版)283頁

 

 

行政(控除説・通説) 国家作用のうちから立法と司法を除いたもの 渋谷「論じ方(第2版)」376頁
行政(限定的控除説) 政府の活動のうち、人民支配作用、つまり私人の権利・義務などに直接かかわる作用を取り出して、この人民支配作用から立法作用と司法作用を差し引いた残りが、行政作用とする。政府の活動のうち人民支配作用ではないものは、民主主義の原理及び憲法41条の解釈を介して、国会に帰属すべき、と理解される。 渋谷「論じ方(第2版)」377頁
行政(法律執行説) 行政とは法律の「執行」である、とする説。ただし、執行とは、「行政権のあらゆる行為が究極的には法律に根拠を持たねばならず、行政がケルゼン的意味で法律の実現として現れるということを表現するものであり、内閣が国会の決定を受動的に執行するに過ぎないこと」を意味しない、とする。 渋谷「論じ方(第2版)」378頁
行政(執政権説) 憲法の規定が内閣に具体的にどのような権能を付与したのかということから、帰納的に定義づけようという立場。憲法73条各号その他の内閣の職務に関する憲法上の諸規定を見ると、内閣の職務は、国政の基本政策の決定と下部行政機関の指揮監督にある、と評しうる。そして、そのような職務は、「執政」と表現するのがふさわしい。すなわち、行政とは「執政」である、とする。 渋谷「論じ方(第2版)」379頁
独立行政委員会の合憲性(人事・予算コントロール説) 内閣が人事権や予算を掌握しており、間接的にコントロールをなしうるため合憲である、とする説。この説は、人事権・予算作成権を内閣におく裁判所も独立していないという結論を導きかねない点に難点がある。 渋谷「論じ方(第2版)」381頁
独立行政委員会の合憲性(国会コントロール説) 65条の趣旨を、国会に対する内閣の連帯責任を定めている66条3項に照らして考慮し、国会は法律制定を通じて行政活動を規定する権限を持ち、その国会が内閣の責任に性質上なじまないと判断した行政活動につき国会を通じた国民による民主的コントロールに服させる権限、つまり内閣の指揮監督のもとに置かないと決定する権限を持つ、として独立行政委員会の存立を正当化する説。 渋谷「論じ方(第2版)」381頁
独立行政委員会の合憲性(権力分立説) 権力分立原理は、そもそも権力の一部門への集中、とりわけ行政権への集中を防ぐことを眼目としていた。この観点からは、「三権(分立)」にこだわる必要はなく、行政権を複数の機関に分有させることも、権力分立原理の本来の趣旨に適合こそすれ、反することにはならない。従って、当然に合憲である、とする説。 渋谷「論じ方(第2版)」382頁
「文民」(66条2項) 現役自衛官ではない者(職業軍人の経歴のある者の存命中は、その者も除外される) 渋谷「論じ方(第2版)」389頁