人身の自由関係の定義集

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【人身の自由】

 

〔奴隷的拘束からの自由18条〕

 

☆☆ 「奴隷的拘束」(18条) 自由な人格者であることと両立しない程度の身体の自由の拘束状態 芦部(第6版)243頁
☆☆ 「その意に反する苦役」(18条) 広く本人の意思に反して強制される労役 芦部(第6版)243頁

 

〔適正手続の保障31条〕

 

☆☆ 適正手続保障の趣旨 公権力を手続的に拘束し、人権を手続的に保障していこうとする思想 芦部(第6版)243頁
☆☆ 憲法31条の意義(通説) ①手続が法律で定められていなければならないこと、②法律で定められた手続が適正でなければならないこと、③実体もまた法律で定められていなければならないこと(罪刑法定主義)、④法律で定められた実体規定も適正でなければならないこと、を意味する 芦部(第6版)244頁
☆☆ 刑罰法規の明確性の意義 国民に公正な告知を与え活動の自由を保障するとともに、法規の執行者の恣意を制限するために不可欠の要請である 読本(初版)191頁
★★★ 刑罰法規が漠然不明確か否かの判断基準(判例) 通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうか(徳島市公安条例事件判決) 読本(初版)140頁・191頁
☆☆ 「告知と聴聞」を受ける権利 公権力によって刑罰その他の不利益を科される場合には、あらかじめ内容を告知され、弁解と防禦の機会を与えられる権利 芦部(第6版)244頁、読本(初版)191頁
☆☆ 憲法31条の行政手続への適用ないし準用の可否(判例) 法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続でないとの理由のみで、その全てが当然に31条の保障の枠外にあると判断すべきではない。ただし、同条の保障が及ぶと解すべき場合でも、行政手続は刑事手続と性質が異なるし、多種多様であるから、事前の告知、弁解、防禦の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分によって達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合衡量して決定され、常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではない。(成田新法事件判決) 芦部(第6版)245頁、読本(初版)192頁
別件逮捕 本件について逮捕するだけの証拠がない場合に、より軽微な犯罪を口実に逮捕・勾留して取り調べる捜査手法。令状主義潜脱のおそれがあるものの、最高裁は別件逮捕の合憲性を認めている(狭山事件決定)。 読本(初版)193頁

 

〔不法な抑留・拘禁からの自由34条〕

 

☆☆ 「抑留」(34条) 逮捕・勾引にともなう留置等のような、身体の一時的拘束 芦部(第6版)247頁
☆☆ 「拘禁」(34条) 勾留・鑑定留置等のような、身体の継続的な拘束 芦部(第6版)247頁
接見交通権 身体の拘束を受けている被告人・被疑者が、弁護人と立会人なく接見できる権利 読本(初版)193頁
接見指定 捜査機関が、捜査のため必要があるときに、接見の日時、場所及び時間を指定すること。判例は、接見指定を認める刑事訴訟法39条3項は、憲法34条前段の弁護人依頼権の保障の趣旨を実質的に損なうものではない、としている。 読本(初版)193頁
ヘイビアス・コーパス(人身保護令状) 英米法で、裁判所が人を拘束している者に対し、被拘束者の身柄を裁判所の前に提出することを命ずる令状 芦部(第6版)247頁
☆☆ 「第三十三条の場合」(35条1項) 33条による不逮捕の保障の存しない場合をいう(判例)。従って、33条による適法な逮捕の場合には、現行犯であると否とに関わりなく、逮捕に伴う合理的な範囲内であれば、35条による令状を必要とせずに、住居等の侵入等を行う事が許されることになる。 芦部(第6版)248頁

 

〔拷問・残虐刑の禁止36条〕

 

☆☆ 「残虐な刑罰」(36条) 不必要な精神的、肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰(判例) 芦部(第6版)255頁

 

〔刑事裁判手続上の保障37条~39条〕

 

☆☆ 「公平な裁判所」(37条1項、判例) 構成その他において偏頗のおそれなき裁判所 芦部(第6版)249頁
☆☆ 「公開裁判」(37条1項) その対審および判決が公開の法廷で行われる裁判。具体的には、一般人の自由な傍聴を認めることを指す。公開の趣旨は、裁判の公正と裁判への国民の信頼を確保することにある(レペタ訴訟判決) 芦部(第6版)250頁、読本(初版)311頁
★★★ 直接審理の原則 被告人に審問の機会が充分に与えられない証人の証言には、証拠能力は認められない、という原則。37条2項の定める証人審問権によって保障され、刑事訴訟法の定める伝聞法則によって制度化されている。 芦部(第6版)251頁
★★★ 「不利益な供述」(38条1項) 刑罰または、より重い刑罰を科される根拠となる事実の供述 芦部(第6版)252頁
☆☆ 自己負罪拒否の特権 被疑者・刑事被告人及び各種の証人が、自己に不利益な供述を避けた場合に、その事を理由として処罰その他法律上の不利益を与えることは禁じられている事を指す 芦部(第6版)252頁
☆☆ 自白排除の法則 被疑者または被告人の行った任意性のない自白の証拠能力を否定する原則 芦部(第6版)253頁、読本(初版)196頁
☆☆ 補強証拠の法則 任意性のある自白でも、これを補強する証拠が別にないかぎり、有罪の証拠とすることができない、という原則 芦部(第6版)253頁、読本(初版)196頁
刑事罰と行政制裁の併科(判例) 脱税犯に対して、ほ税犯として刑罰を科すとともに重加算税を課すことは、前者が反社会的行為に対する制裁であるのに対して、後者は行政上の措置であって刑罰とは性格を異にするため、違憲ではない 読本(初版)198頁

 

 

「奴隷的拘束」(18条) 奴隷の状態(人を物扱いする状態)にまでに至らないけれども人の人格を無視して拘束する状態 渋谷「論じ方(第2版)」145頁
☆☆ 「意に反する苦役」(18条) 奴隷的拘束状態にまで至らない強制労働 渋谷「論じ方(第2版)」145頁
☆☆ 実体の法定 犯罪と刑罰は法律で事前に明確に定め、市民に予め告知されていなければならないという罪刑法定主義 渋谷「論じ方(第2版)」154頁
☆☆ 実体の適正 犯罪と刑罰の内容が妥当でなければならないということ。刑罰の謙抑と罪刑の均衡。 渋谷「論じ方(第2版)」154頁