精神的自由の中でも表現の自由関係の定義集

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【精神的自由権(表現の自由)】

 

〔表現の自由21条〕

☆☆ 「思想の自由市場」論 何が真理か、へと到達させる最上のテストは思想の自由競争であり、思想の表明である表現活動は「誤っている」という理由で国家権力によって制限されてはならない、とする考え 読本(初版)131頁
★★★ 表現の自由 「干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由」と「情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」もの。 芦部(第6版)176頁
★★★ 自己実現の価値 個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させるという個人的な価値。表現の自由を支える価値の一つ。 芦部(第6版)175頁、読本(初版)132頁
★★★ 自己統治の価値 言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという、民主政に資する社会的な価値。表現の自由を支える価値の一つ。 芦部(第6版)175頁、読本(初版)132頁
★★★ 報道の意義(判例) 報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕する(博多駅事件決定) 芦部(第6版)181頁
アクセス権 意見広告や反論記事の掲載等の形で、国民がマス・メディアに自己の意見を発表する場の提供を求める権利。判例も学説も、アクセス権を否定的に捉えている(サンケイ新聞事件判決)。 読本(初版)148頁
★★★ 取材の自由の保障(判例) 報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する 芦部(第6版)182頁
☆☆ 取材の自由の保障(通説) 取材の自由も報道の自由の一環として憲法21条によって保障される。なぜなら、報道は、取材・編集・発表という一連の行為により成立するものであり、取材は、報道にとって不可欠の前提をなすから。 芦部(第6版)182頁
★★★ 裁判傍聴人のメモを取る自由の保障(判例) 情報摂取の自由は表現の自由の派生原理として位置付けられ、その補助としてなされるメモを取る自由も、憲法21条の精神に照らして尊重されるべきであり、公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げるという特段の事情のない限り、故なく妨げられてはならない(法廷メモ採取事件判決) 芦部(第6版)184頁
☆☆ 放送の特性(判例) 放送は、直接かつ即時に全国の視聴者に到達して強い影響力を有しており、視聴者は、音声及び映像により次々と提供される情報を瞬時に理解する事を余儀なくされる、という特性を持つ 読本(初版)151頁
定義づけ衡量論(範疇化のアプローチ) 犯罪の保護法益との衡量をはかりながら、表現の自由の価値に比重をおいて規制対象の定義を厳格にしぼり、それによって表現内容の規制をできるだけ限定しようとする考え方。憲法上規制されるべきでない表現をカテゴリカルに法律的な規制の対象から予め除くための手法。それゆえに、個別的な利益衡量によれば規制が許されるはずの表現も、結果的に規制を免れることになりうる。 芦部(第6版)189頁、読本(初版)135頁
「現実的悪意」の理論(「現実の悪意」の法理) 公務員とか著名人(公人)に対する名誉毀損的表現については、その表現が虚偽であることを本人が知っていながらなされたものか、または虚偽か否かを気にもかけずに無視してなされたものか、それを公務員ないし公人は立証しなければならない、とする考え方 芦部(第6版)192頁、読本(初版)139頁
★★★ 表現の自由の規制立法の態様 ①検閲、事前抑制、②漠然不明確または過度に広汎な規制、③表現内容規制、④表現内容中立規制、という四つの態様に大別される 芦部(第6版)195頁
☆☆ 必要不可欠な公共的利益の基準 立法目的は、やむにやまれぬ必要不可欠な(最高度に重要性の高い)公共的利益であり、規制手段は、その公共的利益のみを具体化するように「厳格に定められていなければならない」こと(立法目的の達成に必要な最小限度のものであること)、という二つの要件の充足を求める(しかも、挙証責任は公権力側にある)厳格審査の基準。この基準が適用されれば、ほぼ法律は違憲となるため、「命取りのテスト」とも呼ばれている。 芦部(第6版)195頁、読本(初版)143頁
★★★ 表現の内容規制 ある表現をそれが伝達するメッセージを理由に制限する規制。特定の観点に着目した規制(観点規制)や、特定の主題に着目した規制(主題規制)がこれにあたる。 芦部(第6版)195頁、読本(初版)141頁
★★★ 表現の内容中立規制 ある表現をそれが伝達するメッセージの内容や伝達効果に直接関係なく制限する規制。規制の態様に応じて、①時・場所・方法の規制と、②象徴的表現の規制ないし行動をともなう表現の規制の二つに分ける事ができる 芦部(第6版)196頁、読本(初版)141頁
☆☆ 象徴的表現(象徴的言論) 言葉によらずに一定の行動を通じて思想・主張を外部に表現する行為 芦部(第6版)197頁、読本(初版)135頁
オブライエン・テスト 象徴的表現(及び行動を伴う表現)を規制する立法の合憲性審査について、①立法目的が、重要な公共的利益を促進するものであり、②表現の自由の抑圧と直接関係がないこと、③規制手段の表現の自由に及ぼす付随的効果(間接的影響)は、立法目的を促進するのに是非とも必要という限度を超えるものでないこと、という三つの要件で構成される基準。米国のオブライエン事件判決で初めて打ち出されたテスト。その後、日本の猿払事件判決は、本テストに類似する「合理的関連性の基準」を採用した。 芦部(第6版)197頁、読本(初版)145頁
★★★ 裁判所の仮処分による事前差止めが例外的に許される場合(判例) ①その表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ②被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるとき(北方ジャーナル事件判決) 芦部(第6版)200頁
★★★ 検閲(判例、最狭義説) 行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること(税関検査事件判決) 芦部(第6版)201頁、読本(初版)134頁
★★★ 明確性の理論 精神的自由を規制する立法は明確でなければならないとする理論 芦部(第6版)205頁
★★★ 漠然故に無効の法理 合理的な限定解釈によって法文の漠然不明確性が除去されないかぎり、かりに当該法規の合憲的適用の範囲内にあると解される行為が争われるケースでも、原則として法規それ自体が違憲無効となること。罪刑法定主義の要求とも重なるが、表現の自由に対する萎縮効果を考慮して、刑事罰に限らず規定の除去を求める法理である点で異なる。 芦部(第6版)205頁、読本(初版)139頁
★★★ 過度に広汎故に無効の法理 法文は一応明確でも、規制の範囲があまりにも広汎で違憲的に適用される可能性のある法令は、その存在自体が表現を萎縮させ、表現の自由に重大な脅威を与える点で、法規それ自体が違憲無効となること 芦部(第6版)205頁、読本(初版)140頁
★★★ 法文の不明確性の判断基準(判例) 通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめる基準が読み取れるかどうか(徳島市公安条例事件判決) 芦部(第6版)205頁、読本(初版)140頁
☆☆ 明白かつ現在の危険の基準 ①ある表現行為が近い将来、ある実質的害悪をひき起こす蓋然性が明白であること、②その実質的害悪がきわめて重大であり、その重大な害悪の発生が時間的に切迫していること、③当該規制手段が右害悪を避けるのに必要不可欠であること、の三つの要件の存在が論証された場合にはじめて、当該表現行為を規制することができるとする基準 芦部(第6版)208頁、読本(初版)136頁
ブランデンバーグ基準 表現内容自体が直接違法な行為を煽動するものであり、かつ、違法な行為が実際に発生する蓋然性のある場合でなければ処罰できない、とする基準。この基準は、定義づけ衡量の一種である。 読本(初版)136頁
☆☆ LRAの基準(「より制限的でない他の選びうる手段」の基準) 立法目的は表現内容には直接かかわりのない正当なもの(十分に重要なもの)として是認できるが、規制手段が広汎である点に問題のある法令について、立法目的を達成するため規制の程度のより少ない手段が存在するかどうかを具体的・実質的に審査し、それがありうると解される場合には、当該規制立法を違憲とする基準 芦部(第6版)210頁、読本(初版)144頁
☆☆ 「合理的関連性」の基準 ①規制目的(立法目的)の正当性、②規制手段(立法目的達成手段)と規制目的との間の合理的関連性(具体的・実質的関連性は必要とされず、抽象的・観念的関連性で足りる)、③規制によって得られる利益と失われる利益との均衡の検討が必要、とする基準 芦部(第6版)210頁
☆☆ 「行動をともなう表現」(speech plus 言論の要素と非言論の要素が同じ行動の中で結合している表現行為 芦部(第6版)210頁
☆☆ 名誉毀損に関する「相当性」の法理(判例) 表現をした者が事実の真実性を証明できなかったとしても、真実と誤信するに際して、確実な資料・根拠に照らして相当の理由があった場合には名誉棄損の責任を免除される、という法理(夕刊和歌山事件判決) 読本(初版)138頁

〔集会・結社の自由、通信の秘密21条〕

 

☆☆ 「集会」(21条1項) 多数人が政治・経済・学問・芸術・宗教などの問題に関する共通の目的をもって一定の場所に一時的に集まること 芦部(第6版)213頁、読本(初版)158頁
★★★ 集会の自由の意義(判例) 集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また、相互に意見や情報等を伝達、交換する場として必要であり、さらに、対外的に意見を表明するための有効な手段であるから、憲法21条1項の保障する集会の自由は、民主主義社会における重要な基本的人権の一つとして特に尊重されなければならない 芦部(第6版)213頁
☆☆ 集団暴徒化論(判例) いかに平穏な集会であっても、一瞬にして暴徒と化し、勢いの赴くところ実力によって法と秩序を蹂躙する危険を内包している(東京都公安条例事件判決) 読本(初版)156頁
許可制 ある行為について、本来的には国民の自由に属する事を承認するものの、野放しにすると弊害が生ずるので、許可を受けなければ当該行為を行うことが出来ないという禁止の網を一般的にかぶせておき、その行為を行わせても弊害が生じない特定の場合に、個別的に禁止を解除して当該行為を行うことを許す処分を行う、という制度 芦部(第6版)217頁
特許制 許可制と異なり、当該事業を営む権利が本来的に国民の自由に属する事を承認せず、その権利は国が独占するものであることを前提とし、事業を経営する能力ある者、もしくは事業を行わせることが公益に適合する場合に、国がその特定人のため事業を行う特権を付与する、という制度 芦部(第6版)226頁
☆☆ 「結社」(21条1項) 多数人が集会と同じく政治・経済・宗教・芸術・学術ないし社交など、さまざまな共通の目的をもって、継続的に結合すること 芦部(第6版)219頁、読本(初版)159頁
結社の自由 団体を結成しそれに加入する自由、その団体が団体として活動する自由はもとより、団体を結成しない、もしくはそれに加入しない、あるいは加入した団体から脱退する、という自由を含む 芦部(第6版)219頁
紀律権 結社が構成員に決定の遵守を求め、違反に対して懲戒を行って結社の紀律を維持する権利。紀律権も結社の自由の保護範囲に含まれる。 読本(初版)159頁

 

 

 

プレスの自由の制度的理解 報道機関が民主主義社会において果たしている機能を客観的に認識して、証言拒絶権や捜索・押収の制限、政府機関に対する情報提供請求権などのプレスの特権を基礎づけるとともに、独立した多様なプレスによる競争状態を客観的な法原理として直接保障しようとするもの 渋谷「論じ方(第2版)」219頁
☆☆ 集会の自由 複数の私人相互の情報交換、情報交換を通じた集団としての意思形成がなされる場の保障 渋谷「論じ方(第2版)」226頁
★★★ 集会の意義(判例) 「集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また、相互に意見や情報等を伝達、交流する場として必要であり、さらに、対外的に意見を表明するための有効な手段である」(成田新法事件判決) 渋谷「論じ方(第2版)」225頁
☆☆ 結社 自己の意思に基づいて特定の目的・関心によって意識的に組織された社会の形成。複数の私人相互の情報交換、それに基づく集団としての意思形成、そして外部に対する情報発信の手段となる。 渋谷「論じ方(第2版)」226頁、262頁
★★★ 知る自由 情報が私人に届く過程に政府が介入・妨害することを排除する権利。不作為請求権。 渋谷「論じ方(第2版)」226頁
★★★ 知る権利 政府に対する作為請求権としての情報公開請求権。 渋谷「論じ方(第2版)」227頁
アクセス権 マス・メディアに対して意見広告・反論などのために紙面・番組の一定スペースの提供を請求する私人の権利。いわば知ってもらう権利。判例(サンケイ新聞事件判決)は、マス・メディア側の表現の自由を間接的に侵す危険性があるので、名誉毀損の不法行為が成立する場合は別論、具体的な成文法の根拠がない限り認められない、とした。 渋谷「論じ方(第2版)」228頁
非言論 憲法の保障が及ばない言論をいう。アメリカでは、猥褻表現・普通の名誉毀損表現・けんか言葉が非言論とされている。 渋谷「論じ方(第2版)」232頁
★★★ 表現内容規制 伝えようとするメッセージの内容に着目した規制 渋谷「論じ方(第2版)」232頁
★★★ 表現内容中立規制 伝えようとするメッセージの内容ではなく、その態様(時・所・方法など)に着目した規制 渋谷「論じ方(第2版)」232頁
ブランデンバーグ判決の基準 明白かつ現在の危険の基準の発展型で、「言論が引き起こすであろう具体的危険がまさに差し迫っておりその発生の蓋然性が高い」か否かを判断する基準。扇動行為やあおり行為規制の審査基準としてアメリカで用いられている。 渋谷「論じ方(第2版)」236頁
★★★ 名誉毀損表現の差止請求の可否(判例) 「人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差止めを求めることができるものと解するのが相当である。けだし、名誉は生命、身体とともに極めて重大な保護法益であり、人格権としての名誉権は、物権の場合と同様に排他性を有する権利というべきであるからである」(北方ジャーナル事件判決) 渋谷「論じ方(第2版)」242頁
☆☆ 名誉毀損表現の差止請求の要件(判例) 公共の利害に関する事項についての表現行為について差止請求が認められるのは、実体的に、①表現内容が真実でないこと、または、専ら公益を図る目的のものではないこと、が明白であり、②被害者が重大かつ著しく回復が困難な損害を被るおそれがあること、手続的に、③口頭弁論または債務者の審尋がなされ、④①と②について疎明以上の立証がなされること、を要する(北方ジャーナル事件判決) 渋谷「論じ方(第2版)」246頁
名誉毀損表現の差止請求の要件(高度の違法性説) 検閲を禁じた憲法21条2項の精神を考慮して、権利侵害の違法性が高度な場合にのみ、差止請求を認めるべき、とする説 渋谷「論じ方(第2版)」245頁
名誉毀損表現の差止請求の要件(個別的比較衡量説) 具体的事案について、被害者が排除ないし予防の措置がなされないままで放置されることによって蒙る不利益の態様、程度と、侵害者が右の措置によってその活動の自由を制約されることによって受ける不利益のそれとを比較衡量して決すべき、とする説 渋谷「論じ方(第2版)」245頁
名誉毀損表現の差止請求の要件(類型的比較衡量説) 名誉の価値と表現行為の価値との比較衡量を、表現行為をできるだけ類型化し、類型化された表現行為の一般的利益とこれと対立する名誉の一般的利益とを比較衡量して判断する、とする説 渋谷「論じ方(第2版)」245頁
名誉毀損表現の差止請求の要件(現実の悪意説) 表現行為がいわゆる現実の悪意をもってされた場合、換言すれば、表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだとき又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切った場合には、表現の自由の優越的保障は後退し、その保護を主張し得ない、とする説 渋谷「論じ方(第2版)」246頁
☆☆ パブリック・フォーラム論 集会の自由という自由権の射程を、パブリック・フォーラムの利用に拡張し、その利用の拒否を集会の自由に対する制限として構成しようとする理論。伝統的パブリック・フォーラム(街路・歩道・公園など)、指定的パブリック・フォーラム(公会堂・公立劇場・公民館・市民会館等)、これらに該当しない非パブリック・フォーラムの3種を区別し、保障の程度を区別する。 渋谷「論じ方(第2版)」254頁、小山「作法(第3版)」196頁
☆☆ 「定義づけ衡量」論 慎重な衡量(すなわち、正当化)の結果として合憲的に禁止できるものを類型的に定義し、それを表現の自由の保護領域から除外する、という思考方法。 小山「作法(第3版)」26頁
★★★ 間接的・付随的規制論(判例) 「政治的行為を、これに内包する意見表明そのものの制約をねらいとしてではなく、その行動のもたらす弊害の防止をねらいとして禁止するときは、同時にそれにより意見表明の自由が制約されることにはなるが、それは、単に行動の禁止に伴う限度での間接的、付随的な制約に過ぎ」ない、とするもの(猿払事件判決)。 小山「作法(第3版)」37頁
「違憲な条件」論 「政府は、たとえある給付を完全に留保しておくことが許されるとしても、その給付の受給者が憲法上の権利を放棄することを条件づけて、当該給付を付与することは許されない」とする理論 小山「作法(第3版)」203頁
「ベースライン」論 「基本的人権の実現にあたって政府が保障を義務づけられる基本的水準(ベースライン)においては、政府の裁量は何らかの憲法的規律によって縮減され、あるいは、個人に人権主張の道が開かれる」とする理論 小山「作法(第3版)」203頁
「専門家の介在」論 芸術や学問に対する給付・助成のように、中身を評価して優先順位を決定する選択的助成とならざるを得ないものについて、国家は助成プログラムの「基本方針」を策定する役割に自らをとどめ、基本方針の「解釈」については専門職の判断を尊重しなければならないとする理論 小山「作法(第3版)」204頁
★★★ 「二重の基準」論 憲法の保障する権利を精神的自由と経済的自由の2つに分け、経済的自由の規制が立法府の裁量を考慮して緩やかな基準で審査されるのに対して、精神的自由の規制はより厳格な基準によって審査されなければならないという理論 小山「作法(第3版)」86頁
表現の自由の価値(トマス・エマソンの見解) 表現行為は、①個人の自己実現の確保手段(自己実現の価値)、②知識向上・真理発見の過程(思想の自由市場論)、③社会の全構成員による意思形成への参加の提供にそれぞれ不可欠であり(自己統治の価値)、④社会の安全弁として機能する 渋谷「論じ方(第2版)」234頁
★★★ 自己実現の価値 個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させるという個人的な価値 小山「作法(第3版)」87頁
★★★ 自己統治の価値 言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという、民主政に資する社会的な価値 小山「作法(第3版)」87頁
「推定ルール」 表現の自由と人格権との衝突を調整するために展開され、ドイツの憲法判例が採った衡量のルール。私的な論争を目的とするのではなく、「適格な者による、公共に本質的に関わる問題についての精神的意見闘争への寄与」である場合に、「自由な言論が許容されるという推定」を働かせるというもの。 小山「作法(第3版)」91頁
「相互作用論」 《法律によって意見表明の自由を一方的に制限してはならず、意見表明の自由の制限を加える法律自体を、この基本権の意義に適合するように限定的に解釈しなければならない》という要請 小山「作法(第3版)」92頁
★★★ 明確性の判断の指標(判例) 「通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為がその適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれる」かどうか(徳島市公安条例事件判決) 小山「作法(第3版)」58頁
☆☆ (規範の)明確性と(規範の)過度の広汎性の相違点 明確性と過度の広汎性は、立法技術の稚拙さに由来し、立法事実等を検討するまでもなく、すでに文面審査によって違憲性が認定できる、という点で共通する。しかし、明確性は、告知機能を果たさない(予見可能性を与えない)という形式的・手続的問題であるのに対し、過度の広汎性は、規制してはならない行為を規制対象に含むという、実質的観点に属する問題である点に違いがある。 小山「作法(第3版)」59頁