法の下の平等関係の定義集

Pocket

 

【法の下の平等】

 

反別異の視点 基本的には権利・義務等のレベルに焦点を当て、そこにおける別異取扱い、あるいは不平等扱いこそが、平等の規範の対処すべき課題である、とみる視点 読本(初版)96頁
反従属の視点 諸々の権利・義務等の不平等分配の背後に、不平等処遇の犠牲者たるマイノリティの人々の社会的地位の格下げという害悪を見てとり、そこに考察の焦点を当てる視点 読本(初版)96頁
☆☆ 形式的平等(機会の平等) すべて個人を法的に均等に取り扱いその自由な活動を保障する、という平等の観念。 芦部(第6版)128頁、読本(初版)98頁
☆☆ 実質的平等(結果の平等) 社会的・経済的弱者に対して、より厚く保護を与え、それによって他の国民と同等の自由と生存を保障していく、という平等の観念 芦部(第6版)128頁、読本(初版)98頁
☆☆ 法適用の平等 法を執行し適用する行政権・司法権が国民を差別してはならないこと 芦部(第6版)130頁
☆☆ 法内容の平等 法の執行・適用のみならず、法そのものの内容も平等の原則にしたがって定立されるべきだということ 芦部(第6版)130頁
絶対的平等 各人に全く同等の処遇をすること 読本(初版)98頁
★★★ 相対的平等 各人の種々の事実的・実質的差異を前提として、法の与える特権の面でも法の課する義務の面でも、同一の事情と条件の下では均等に取り扱うこと 芦部(第6版)130頁、読本(初版)98頁
積極的差別解消措置(ポジティブ・アクション、アファーマティブ・アクション) 歴史的に差別を受けてきたグループに対し、大学入学や雇用等につき特別枠を設け、優先的な処遇を与える措置 芦部(第6版)131頁
★★★ 厳格審査基準 立法目的が必要不可欠なものであるかどうか、立法目的達成手段が是非とも必要な最小限度のものかどうかを検討することが必要、とする基準。精神的自由侵害、選挙権侵害、(特別意味説を前提とする立場から)14条後段列挙事由の中でも人種・信条による差別などの審査に用いられる。 芦部(第6版)132頁、読本(初版)102頁
★★★ 厳格な合理性の基準 立法目的が重要なものであること、目的と手段との間に実質的な関連性が存することを要求する基準。経済的自由の消極目的規制、(特別意味説を前提とする立場から)14条後段列挙事由の中でも性別・社会的身分による差別などの審査に用いられる。 芦部(第6版)132頁、読本(初版)102頁
★★★ 合理的根拠の基準 立法目的が正当なものであること、目的と手段との間に合理的関連性が存すること、を以て足りるとする基準。経済的自由の積極目的規制などの審査に用いられる。 芦部(第6版)132頁、読本(初版)102頁
☆☆ 憲法14条1項後段列挙事由の性格(例示列挙説、判例・通説) 14条1項後段に列挙された事由は、憲法14条が及ぶ区別事由の例示に過ぎず、これら以外のものによる区別についても憲法14条の規制は及ぶ 読本(初版)99頁
憲法14条1項後段列挙事由の性格(限定列挙説) 憲法14条が禁じているのは列挙された事由による区別のみであって、それ以外の事由によるものはそもそも憲法14条の埒外である 読本(初版)99頁
☆☆ 憲法14条1項後段列挙事由の性格(特別意味説) 憲法14条の効力の及ぶ範囲に関しては例示列挙に過ぎないが、憲法が明示的に列挙した事には、これらの事由による区別を特に警戒すべきであるという趣旨が込められている。それゆえに、区別の合憲性を審査する際の基準を高めるという特別の意味を認めるべきである 読本(初版)99頁
「信条」(14条) 宗教上の信仰のみならず、広く思想上・政治上の主義を含むもの 芦部(第6版)135頁
☆☆ 「社会的身分」(判例、広義説) 人が社会において一時的ではなしに占める地位。 芦部(第6版)136頁
「社会的身分」(狭義説) 自己の意志をもってしては離れることの出来ない固定した地位 芦部(第6版)136頁
「社会的身分」(中間説) 人が社会において一時的ではなく占めている地位で、自分の力ではそれから脱却できず、それについて事実上ある種の社会的評価が伴っているもの 芦部(第6版)136頁
議員定数不均衡の問題 国会議員の選挙において、各選挙区の議員定数の配分に不均衡があり、そのため、人口数(もしくは有権者数)との比率において、選挙人の投票価値(一票の重み)に不平等が存在することが違憲ではないか、という問題 芦部(第6版)140頁
☆☆ 投票価値の平等 各人の投票が選挙の結果に対してもつ影響力が平等であること 芦部(第6版)141頁

 

 

 

☆☆ 積極的差別是正措置 過去・現在に差別があるという社会背景のもとに同じスタート・ラインに立てない人に、いわばハンディキャップ・ポイントを与えるもの 渋谷「論じ方(第2版)」74頁
「法の下の平等」(立法者非拘束説) 法を所与の前提として、その適用に当たる者、つまり行政機関や裁判官が法を、その適用対象者の如何を問わず平等に執行しなければならない、とする考え方 渋谷「論じ方(第2版)」77頁
☆☆ 「法の下の平等」(立法者拘束説) 平等に執行される法の内容自体に差別があるとき、それを平等に執行しても、平等の理念に反することになるから、この規範は、法を作る人、つまり立法者をも拘束する、とする考え方 渋谷「論じ方(第2版)」77頁
☆☆ 平等原則 法の制定と執行にあたる政府機関が、その職務の遂行に当たって平等でなければならないということ 渋谷「論じ方(第2版)」77頁
☆☆ 平等権 平等に扱われなかった人が、自分の権利が侵害されたとして、その是正の主張を政府機関に対してできるということ 渋谷「論じ方(第2版)」77頁
☆☆ 平等権と実体的基本権の競合の審査類型 ①差別禁止が自由権に当然に含意されており、自由権のみの審査が行われる場合、②自由に対する侵害であることは、平等権の審査に吸収され、平等権のみの審査が行われる場合、③実体的権利と平等権が異なる観点から、並列的に審査される場合、④実体的権利が存在しないところで平等権が適用される場合、が区別される。 小山「作法(第3版)」105頁
☆☆ 平等権の審査 別異取扱い・正当化という2段階に整理される。まず、誰と誰との間の取扱いの差異を問題とするのかを特定した後、(防御権と同様に)目的・手段審査で正当化の可否を検討する。通常は、別異取扱いが恣意的でない限り合憲となるという緩やかな審査で足りるが、「重要な法的地位」に関する差別である場合(判例が重要視するファクター)には、厳格な審査が要請される。学説上は、①区別事由が憲法14条1項後段列挙事由に該当する場合や、②実体的基本権の行使を著しく妨げる場合には、審査密度を厳格にすべき、とする考え方も有力である。 小山「作法(第3版)」150頁
「社会的身分」(脱却不能地位説) 人が社会において一時的ではなく占めている地位で、自分の力ではそれから脱却できず、それについて事実上ある種の社会的評価が伴っているもの、と解する説 渋谷「論じ方(第2版)」80頁
「社会的身分」(継続的地位説) 人が社会において一時的ではなしに(ある程度継続的に)占めている地位または身分、と解する説 渋谷「論じ方(第2版)」80頁
「社会的身分」(先天的地位説) 出生によって決定された社会的な地位または身分、と解する説 渋谷「論じ方(第2版)」80頁