包括的権利関係の定義集

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【包括的権利】

 

 

☆☆ 幸福追求権の性格 幸福追求権は憲法14条以下の個別的権利の単なる総和ではなく、個別的権利が派生する基底的権利であり、「新しい人権」の源泉ともなる「包括的権利」である 読本(初版)83頁
新しい人権の承認の要件 ①道徳的諸原理の体系から導かれること、②個別的権利と同程度に、権利の具体化・明確化に成功していること、を要する 読本(初版)83頁
幸福追求権の保障範囲(一般的行為自由説) あらゆる生活領域に関する行為の自由 芦部(第6版)120頁、読本(初版)84頁
☆☆ 幸福追求権の保障範囲(人格的利益説) 個人の人格的生存に不可欠な利益を内容とする権利の総体。憲法の基底的原理を、自律的個人としての尊重と解し、憲法13条前段はそれを示している、と理解した上で、幸福追求権の保障範囲は、人格的生存に必要不可欠な利益、すなわち個人の自律に不可欠な利益に限定される、とする。 芦部(第6版)120頁、読本(初版)84頁
★★★ 肖像権の具体的権利性(判例) 個人の私生活上の自由として、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する。これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し、許されない。(京都府学連事件判決) 芦部(第6版)120頁、読本(初版)83頁
★★★ プライバシー権 私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利(宴のあと事件判決) 芦部(第6版)122頁、読本(初版)86頁
情報プライバシー権 自己に関する情報をコントロールする権利。個人が道徳的自律の存在として、自ら善であると判断する目的を追求して、他者とコミュニケートし、自己の存在にかかわる情報を開示する範囲を選択できる権利。個人の自律的主体性を前提に、プライバシー権の自由権的側面のみならず、プライバシーの保護を公権力に対して積極的に請求していくという側面をも重視して構成された。 芦部(第6版)123頁
★★★ プライバシー権侵害の要件 公開された内容が、①私生活上の事実または事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること(秘事性)、②一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められる事柄であること(秘匿性)、③一般の人々にいまだ知られていない事柄であること(非公然性)を必要とする(宴のあと事件判決) 芦部(第6版)123頁、読本(初版)86頁
人格権 各人の人格に本質的な生命、身体、健康、精神、自由、氏名、名誉、肖像、および生活等に関する利益の総体 芦部(第6版)124頁、読本(初版)92頁
☆☆ 自己決定権(ないし人格的自律権) 個人の人格的生存に関わる重要な私的事項を公権力の介入・干渉なしに各自が自律的に決定できる自由 芦部(第6版)126頁、読本(初版)93頁

 

 

☆☆ 幸福追求権 人格的自律の存在として自己を主張し、そのような存在であり続ける上で必要不可欠な権利・自由を包摂する包括的な主観的権利 渋谷「論じ方(第2版)」89頁
一般的自由説 各人の人格的自律にとってその行為がどれほど重要かを問わずに、およそあらゆる行為自由を憲法13条の保障の対象に含める考え方。ドイツの確立した判例法理。 渋谷「論じ方(第2版)」92頁、小山「作法(第3版)」94頁
人格的自由説 行為の質をまず問い、憲法上の権利として承認されるためのいくつかの要件を設定する考え方。アメリカ合衆国の確立した判例法理。 渋谷「論じ方(第2版)」92頁、小山「作法(第3版)」94頁
客観法説 一般的(行為)自由説や人格的自由説のように、包括的自由権の保護領域を自己決定権という主観的権利の射程として考えるのではなく、憲法の客観法的側面に着目し、違憲の強制を受けないことの保障(違憲の強制からの自由)として捉える考え方。すなわち、憲法は、個人の主観的権利を保障すると同時に、実質的法治国家の要請として恣意的な国家活動を禁止しており、個別の主観的権利によってはカバーされない各人の行為であっても、憲法の何らかの条項に反した強制が加えられないことを保障している、と解する。 小山「作法(第3版)」95頁、96頁
☆☆ 包括的自由権の審査 制限・正当化という2段階で整理される。審査の第1段階では、国の措置によって規制を受ける行為が、明文の憲法上の権利の保護領域に含まれないこと、従って一般的自由の問題となることが確認される。これは、明文の憲法上の権利に含まれないことの消極的確認である。また、一般的自由は、憲法に反した強制を受けないという意味にとどまるため、第2段階の正当化審査の審査密度は原則として緩やかになる。 小山「作法(第3版)」98頁
★★★ プライバシー権(判例) 私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利。個人の尊厳を保ち幸福の追求をするうえにおいて必要不可欠なものである(「宴のあと」事件判決)。 渋谷「論じ方(第2版)」228頁、小山「作法(第3版)」99頁
プライバシー権(情報プライバシー権説) 公開を欲するような情報か否かを問わず、個人情報はその人そのものであるから、その収集・保管・利用・開示について本人がコントロールできる権利(=自己情報コントロール権、情報プライバシー権)をいう。 渋谷「論じ方(第2版)」229頁
★★★ プライバシー侵害3要件 公開された内容が、①私生活上の事実または事実らしく受け止められるおそれのある事柄であること(=私事性)、②一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められるものであること(=秘匿性)、③一般の人に未だ知られていない事柄であること(=非公然性)。(「宴のあと」事件判決) 小山「作法(第3版)」99頁
プライバシー固有情報(佐藤幸治の分類) 個人の道徳的自律の存在に直接かかわる情報。その意に反した情報の取得・利用がただちにプライバシー侵害となる。 小山「作法(第3版)」100頁
プライバシー外延情報(佐藤幸治の分類) 個人の道徳的自律に直接かかわらない個別的情報。正当な目的・方法により情報を取得・利用する限りにおいては、違法なプライバシー侵害は生じない。ただし、自己に関する情報の収集・管理・利用・開示・提供のすべてについて、原則として本人の意に反してはならない。 小山「作法(第3版)」100頁