基本的人権の原理関係の定義集

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【基本的人権の原理・限界】

 

 

「人格」 成熟した判断能力を前提に、熟慮や反省に基づいて自律的に判断しうる主体としての、抽象的な個人を指す。現在の有力説は、究極的な価値観が対立する現代に上手く適合できていない自然権思想に代わり、この「人格」を人権の根拠に据えている。 読本(初版)55頁
法実証主義 法学の対象を実定法に限定し、自然法的なもの政治的なものを排除し、実定法の論理的解明のみを法学の任務と考える立場 芦部(第6版)77頁
☆☆ 人権の固有性 人権が憲法や天皇から恩恵として与えられたものではなく、人間であることにより当然に有するとされる権利であること 芦部(第6版)80頁
☆☆ 人権の不可侵性 人権が、原則として、公権力によって侵されないということ 芦部(第6版)81頁
☆☆ 人権の普遍性 人権は、人種、性、身分などの区別に関係なく、人間であることに基づいて当然に享有できる権利であること 芦部(第6版)82頁
★★★ 基本的人権 人間が社会を構成する自律的な個人として自由と生存を確保し、その尊厳性を維持するため、それに必要な一定の権利が当然に人間に固有するものであることを前提として認め、そのように憲法以前に成立していると考えられる権利を、憲法が実定的な法的権利として確認したもの 芦部(第6版)82頁
★★★ 自由権(「国家からの自由」) 国家が個人の領域に対して権力的に介入することを排除して、個人の自由な意思決定と活動とを保障する権利(国家に対する不作為請求権)。その内容は、精神的自由権、経済的自由権、人身の自由に分けられる。 芦部(第6版)83頁、読本(初版)59頁
★★★ 参政権(「国家への自由」) 国民の国政に参加する権利 芦部(第6版)84頁
★★★ 社会権(「国家による自由」) 社会的・経済的弱者が「人間に値する生活」を営むことができるように国家の積極的な配慮を求めることのできる権利(国家に対する作為請求権) 芦部(第6版)84頁、読本(初版)59頁
☆☆ 具体的権利 憲法の規定だけを根拠として権利の実現を裁判所に請求することのできる権利 芦部(第6版)84頁、読本(初版)59頁
☆☆ 抽象的権利 原則として立法による具体化を待って初めて裁判規範性を有する権利 読本(初版)59頁
☆☆ 客観法 客観的公益のために国家を義務づけるだけで、それによって国民の側に反射的利益が生じるとしても、その国家の義務に対応する権利は国民に与えられていない法規範。 読本(初版)57頁
☆☆ 主観的権利 客観法としての側面に、権利としての側面をプラスしたもの 読本(初版)57頁
★★★ 制度的保障 個人的権利、とくに自由権と異なる一定の制度に対して、立法によってもその核心ないし本質的内容を侵害することができない特別の保護を与え、当該制度それ自体を客観的に保障しているもの。制度の本質を変更するためには、単なる法律の改廃ではなく、憲法改正が必要とされる。 芦部(第6版)86頁、読本(初版)58頁
☆☆ 制度的保障の理論の妥当範囲 ①立法によっても奪うことの出来ない「制度の核心」が明確であり、②制度と人権との関係が密接であるもの、に限定すべき 芦部(第6版)86頁
★★★ 外国人の人権享有主体性(判例・通説) 権利の性質上、日本国民のみを対象としている憲法上の権利を除いて、外国人にも保障される(マクリーン事件判決) 読本(初版)61頁
☆☆ 外国人の入国・在留の自由(判例) 国際慣習法上、入国の許否は国家の主権として自由裁量に属することから、外国人に入国の自由はなく、それゆえ在留の権利も保障されない(マクリーン事件判決) 読本(初版)62頁
☆☆ 外国人の再入国の自由(判例) 外国人には日本国外へ一時旅行する自由は保障されず、再入国の自由も保障されない(森川キャサリーン事件判決) 読本(初版)62頁
定住外国人 日本に生活の根拠を持ちしかも永住資格を認められた外国人 芦部(第6版)92頁
★★★ 法人の人権享有主体性(判例・通説) 法人にも性質上可能な限り、憲法上の権利が保障される(八幡製鉄事件判決) 読本(初版)65頁
法人の人権享有主体性(有力説) 憲法上の権利の保障根拠を個人の自律に求める立場から、自律的な主体たりえない法人・団体に、憲法上の人権の主体としての固有の地位を認めることは出来ない、とする立場。もっとも、団体が国家と対峙する局面においては、団体に構成員の憲法上の権利を代位主張する適格を認める事が、個人の自律に資するため、その限りにおいて法人の人権主張適格を肯定する。 読本(初版)66頁
公共の福祉(一元的外在制約説) 人権の外にあって、それを制約することのできる一般的な原理 芦部(第6版)99頁、読本(初版)74頁
☆☆ 公共の福祉(一元的内在制約説) 人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理。「公共の福祉」を、自由権を各人に保障するための制約を根拠づける「自由国家的公共の福祉」と、(自由主義の行き過ぎを是正する為の)社会権を保障するために自由権の規制を根拠づける「福祉国家的公共の福祉」に分け、前者には必要最小限度の規制が、後者には必要な限度の規制が許される、とする。 芦部(第6版)100頁、読本(初版)74頁
★★★ 審査基準 裁判官の主観的判断を拘束し、判断の予測可能性を担保するための基準。規制の目的および手段に関する審査を要求し、憲法上の権利の重要性などに応じて、目的・手段それぞれの審査の厳格度(根拠となる立法事実の確証度)を変えるもので、目的と手段の審査それぞれをパスすれば、利益衡量上、得られる利益の方が大きいとみなされる。 読本(初版)76・321頁
★★★ 比較衡量論 全ての人権について、それを制限することによってもたらされる利益とそれを制限しない場合に維持される利益とを比較して、前者の価値が高いと判断される場合には、それによって人権を制限することができるというもの 芦部(第6版)102頁
★★★ 判例が用いる比較衡量の基準 制限が是認されるかどうかは、目的のために制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容および性質、これに加えられる具体的制限の態様および程度等を比較衡量して決せられるべき 芦部(第6版)103頁
★★★ 「二重の基準」の理論 精神的自由は、立憲民主性の政治過程にとって不可欠の権利であるから、それは経済的自由に比べて優越的地位を占めるとし、したがって、人権を規制する法律の違憲審査にあたって、経済的自由の規制立法に関して適用される「合理性」の基準は、精神的自由の規制立法については妥当せず、より厳格な基準によって審査されなければならない、とする理論 芦部(第6版)104頁、読本(初版)76頁
☆☆ 民主的な政治過程論 裁判所の役割は民主的な政治過程の維持にあり、民主的な政治過程が正常に機能している限り、違憲の規制の是正は民主的政治過程に委ね、裁判所は介入すべきでないが、民主的な政治過程が正常に規定していない場合には、それを回復する為に、裁判所は積極的に介入しなければならない、とする考え方。「二重の基準」論を支える理論で、表現の自由を典型とする精神的自由は、民主的な政治過程を構成する権利であり、その規制に対して、裁判所は積極的に介入する必要があるが、経済的自由に関する規制の場合、民主的な政治過程が正常に機能しているので、裁判所は介入を控えるべき、という帰結を導く。 読本(初版)77頁
★★★ 比例原則 ①手段が目的達成に役立つか(合理性)、②手段が目的達成にとって必要最小限度のものか(必要性)、③規制により得られる利益と失われる利益の均衡(狭義の比例性)を要求する原則。警察法の比例原則に由来する。 芦部(第6版)121頁、読本(初版)78頁
★★★ 三段階図式 防禦権すなわち自由権の規制に関する論証作法。第一段階では、規制の対象となる行為が、憲法上の権利の「保護範囲」に入るかどうかが検討される。それが肯定されると、第二段階では、問題となる国家行為が、憲法上の権利を「侵害」するかどうかが検討される。それも肯定されると、国家行為の違憲性が推定され、第三段階では、国家行為が正当化されるかどうかが審査される。第三段階においては、形式的には法律の留保等について審査し、実体的には目的の正当性、手段の比例原則の充足について審査する。 読本(初版)78頁
特別権力関係 特別の公法上の原因(法律の規定または本人の同意)によって成立する公権力と国民との特別の法律関係。国家と国民との一般権力関係に対置される概念である。特別権力関係においては、①法律の留保が排除され、②広汎な人権制限が肯定され、③司法審査が排除される、とされていた。「法の支配」に立脚する日本国憲法の下では、包括的に法律の留保や司法審査を排除するこの理論は容認されない。 芦部(第6版)106頁
公務員の人権制限の根拠(初期の判例) 公共の福祉および「全体の奉仕者」(憲法15条2項)という抽象的な観念。特別権力関係論を背景にしている。 芦部(第6版)108頁
☆☆ 公務員の人権制限の根拠(判例) 公務員にも一般の勤労者と同様に基本権が保障されるが、その職務の性質上、国民全体の利益の保障という見地からの制約を当然の内在的制約として内包する(全逓東京中郵判決) 芦部(第6版)108頁
公務員の人権制限の根拠(有力説) 憲法が公務員関係の存在と自律性を憲法秩序の構成要素として認めていることに由来する 芦部(第6版)108頁
在監者の人権制限を正当化する根拠 憲法が在監関係とその自律性を憲法的秩序の構成要素として認めていること(憲法18条・31条参照)に由来する 芦部(第6版)108頁
在監者の人権制限の限度(有力説) 拘禁と戒護および受刑者の矯正教化という在監目的を達成するために必要最小限度にとどまるものでなければならない 芦部(第6版)109頁
☆☆ 在監者の人権制限の限度(判例) 監獄長の新聞記事抹消処分の許容限度について、監獄内における規律・秩序が放置できない程度に害される「相当の具体的蓋然性」が予見される場合に限り、禁止または制限できる(よど号ハイジャック記事抹消事件判決) 芦部(第6版)109頁
☆☆ 憲法上の権利の私人間適用(間接適用説) 規定の趣旨・目的ないし法文から直接的な私法的効力をもつ人権規定を除き、その他の人権(自由権ないし平等権)については、法律の概括的条項、とくに公序良俗に反する法律行為は無効であると定める民法90条のような私法の一般条項を、憲法の趣旨を取り込んで解釈・適用することによって、間接的に私人間の行為を規律しようとする見解 芦部(第6版)112頁、読本(初版)69頁
間接適用説の内容 人権侵害行為を態様に応じて、①法律行為に基づくもの、②事実行為に基づくが、その事実行為自体が法令の概括的な条項・文言を根拠としているもの、③純然たる事実行為に基づくもの、の3つに分類し、①では法律行為が無効かどうか(民法90条の公序良俗違反に該当するかどうか)を吟味する過程で人権規定の趣旨が勘案され、②では概括的な条項・文言を解釈・適用する際に、人権規定の趣旨が考慮される。③については、正面から憲法問題として争う事は出来ない。 芦部(第6版)116頁
憲法上の権利の私人間適用(保護義務論) 基本権(憲法上の権利)は国家に基本権を尊重する義務を負わせると共に、基本権に由来する「基本権法益」を保護する義務も負わせる。保護義務を実現する選択肢は複数ありうることから、それは第一次的には立法府に課されるが、裁判所も保護義務を負う。そして、裁判所はその義務を果たすべく、法律の憲法適合的解釈をしなければならず、これが間接適用説にあたる、とする考え方。憲法の価値充填に関する指針を示していない、という間接適用説に対する批判に応え、過剰侵害の禁止・過少保護の禁止という指針を示している。 読本(初版)69頁
憲法上の権利の私人間適用(直接適用説) ある種の人権規定(自由権ないし平等権あるいは制度的保障)が私人間にも直接効力を有する、と説く見解 芦部(第6版)112頁、読本(初版)68頁
☆☆ 憲法上の権利の私人間適用(新無適用説) 実定法の背後には、誰に対しても主張可能な超実定法的な人権が存在し、その人権を実定法により保障するために実定法の中に取り込んでいるのであるが、実定法に取り込まれた人権は、取り込んだ実定法の特質により拘束される。すなわち、憲法に取り込まれた「憲法上の人権」は、憲法が公権力を名宛人とするという特質により拘束されて、公権力を名宛人とする権利になり、民法に取り込まれた人権は、民法が私人間を規整する法律であるという特質により拘束されて、私人間で実現されるべき権利となる。従って、「憲法上の人権」は、直接であれ間接であれ私人間に適用されることはありえない、とする見解。この見解からは、人権の私人間適用とは、私人間を規律する法律を超実定法的人権に適合的に解釈するということにすぎないものとなる。 芦部(第6版)112頁
国家行為の理論(国家同視説、ステイト・アクション) 人権規定が公権力と国民との関係を規律するものであることを前提としつつ、①公権力が、私人の私的行為に極めて重要な程度にまでかかわり合いになった場合、または、②私人が、国の行為に準ずるような高度に公的な機能を行使している場合に、当該私的行為を国家行為と同視して、憲法を直接適用するというアメリカの判例理論。私人間における憲法の無適用を前提とするため、新無適用説と親和的である。ただし、間接適用説からも、純然たる事実行為に基づく人権侵害行為を規律する為の規範として説明可能である。 芦部(第6版)117頁、読本(初版)70頁
☆☆ 直接規制 憲法上の権利の行使を規制することを目的とする規制 読本(初版)81頁
☆☆ 間接・付随規制 一般的に正当とされる法律を適用した結果、たまたま憲法上の権利行使が規制されてしまうもの 読本(初版)81頁

 

 

★★★ 法の支配 一国の政治を支配する者、つまり統治者の統治の方法・内容を支配し拘束する「法」があるという考え方。正義にかなう「法」によって権力をコントロールし、国民の権利・自由を保障する原理。この原理の中核部分は、立憲主義の原型となった。 渋谷「論じ方(第2版)」58頁
☆☆ 法治主義 法(立法部の制定する法律)によってコントロールされない国家(警察国家)の時代を克服して、統治活動が法にしたがうべきことを内容とする。 渋谷「論じ方(第2版)」59頁
★★★ 法律による行政の原理 行政活動が立法部の制定する法律に従わねばならないという原理 渋谷「論じ方(第2版)」59頁、157頁
人権の享有主体性 人間の属性(ex.外国人、未成年者など)に基づく権利享有のあり方の差異をめぐる問題 渋谷「論じ方(第2版)」67頁、68頁
人権の到達範囲 人間のおかれたコンテクスト(ex.公務員、在監者など)によって、人権保障がどのようになるのかをめぐる問題 渋谷「論じ方(第2版)」68頁
法人の「内心」の内実 法人を現実に動かしている機関の地位にある自然人の内心、あるいは法人の内部的意思決定プロセス、さらにその法人の設立目的・趣旨を憲法上の内心と捉えるべきことになる。 渋谷「論じ方(第2版)」109頁
☆☆ 部分社会論(部分社会の法理) 自律的法規範をもつ社会ないし団体内部における紛争に関しては、その内部規律の問題にとどまる限りその自治的措置に任せ、それについては司法審査が及ばない、とする理論(富山大学事件判決)。憲法上の権利に限らず、ある社会的なコンテクストにおいて生じた紛争に裁判者が介入できるか否かの問題である。 渋谷「論じ方(第2版)」68頁、350頁、小山「作法(第3版)」226頁
★★★ 防御権 「各人の自由の領域を公権力の介入から保護するもの」であり、「国家に対抗する」権利 小山「作法(第3版)」4頁
★★★ 三段階審査 ドイツの憲法裁判で実践されている手法であり、自由が原則であり、制限は例外的にのみ許される(憲法上正当化できない限り、自由の制限は違憲である)という理解から、①ある憲法上の権利が何を保障するのか(保護領域)、②法律および国家の具体的措置が保護領域に制約を加えているのか(制限)、③制限は憲法上、正当化しうるのか、という順で審査すること 小山「作法(第3版)」5頁、10頁
基本権の競合 規制の対象となった一の基本権主体の行為ないし利益が、複数の基本権の保護領域と関わりを持つ場合 小山「作法(第3版)」30頁
基本権の衝突 複数の基本権主体の基本権が対抗しあう場合(例えば、Aの表現の自由とBの人格権の衝突) 小山「作法(第3版)」31頁
基本権の競合において規準となる基本権 ①まず、複数の基本権が競合すると見られる場合でも、それぞれの基本権の保護領域を画定する段階、または、当該措置が「制限」と言いうるほど強い干渉を加えたかを検討する段階で、競合が解消される場合がある。②次に、競合する基本権が一般法と特別法の関係にある場合には、後者のみが適用される。③これらの作業を経た後にも基本権の競合が残る場合には、問題となる事案に対して、より強い関連性を持つ基本権が基準となる。この関連性は、一般的・抽象的に特定されるのではなく、事案に即して特定される。④複数の基本権がいずれも強く関連する場合には、結局、複数の基本権が適用される。 小山「作法(第3版)」31頁
基本権の放棄(承諾) 基本権の保護領域に対する介入が、本人の承諾により、制限という性格が排除されること。医療行為に対する承諾(自己決定権)のように、承諾による放棄になじむ基本権がある一方で、奴隷的拘束の禁止(18条)等のように承諾による放棄になじまない基本権もある。 小山「作法(第3版)」15頁、39頁
(伝統的な)基本権「制限」の4要件 ①目的志向性(規制する目的をもって意図的になされたのかどうか)、②直接性、③命令性(命令権および強制権の発動としてなされたものかどうか)、④法形式性(法律・命令・判決という法形式をもってなされたのかどうか) 小山「作法(第3版)」36頁
☆☆ 絶対的禁止 どのような公益上の理由があっても国家による介入が禁止されるもの。禁止の対象が定義的に画定され、次に、あてはめで、問題となる国家の措置がその定義に該当するか否かが審査されることになる。 小山「作法(第3版)」64頁
「濫用」(12条) ある人の行為(作為または不作為)が外形的には権利行使とみえるけれども、具体的な状況や実際の結果に照らしてみると権利行使と認められない、ということ 渋谷「論じ方(第2版)」124頁
基本権保護義務 国家は被害者Xの基本権法益を、加害者Yの侵害から保護する義務を負うとの考え方であり、法的三極関係を構造上の特徴とする。保護義務は、立法府を第一次的な名宛人とする。次に、保護義務を具体化した法律がひとまず制定された後は、保護義務は、それを解釈・適用する国家機関に対して課せられる。 小山「作法(第3版)」129頁、131頁、140頁
★★★ 人権の私人間適用 本来、政府と私人との間のルールとされていた憲法上の権利規定を、私人相互の関係にどの程度及ぼすことができるかという問題 渋谷「論じ方(第2版)」68頁
私人間効力(直接適用説) 基本権の対国家的防御権という性格は歴史的理由に由来するものであって、基本権の必然ではないとし、基本権は社会生活においても尊重されるべき「客観法規範」ないしは「原則規範」としての意味を持つ。ゆえに、思想・良心の自由、信教の自由などの特定の基本権について、または、一方の当事者が企業などの社会的権力である場合に、基本権の直接適用を説く考え方 小山「作法(第3版)」134頁
ステイト・アクションの理論(国家行為の理論) 加害者たる私人(またはその行為)を、国家(の行為)と読み替える考え方。すなわち、私的行為に国家が「きわめて重要な程度にまでかかわり合いになった」場合(国有財産の貸与、財政・免税措置等の国家援助、特権付与など)や、私的行為の主体が「高度に公的な機能を行使する団体」である場合(統治機能の理論)に、これを国家による侵害と同列に扱う。 小山「作法(第3版)」135頁
☆☆ 私人間効力(間接適用説) 基本権は、私法の概括的条項、特に、民法90条の公序良俗規定や709条の不法行為の規定を通じて、私人間の行為を間接的に規律する、という考え方 小山「作法(第3版)」135頁
私人間効力(無効力説) 実定法に先行し全方位性を持つ理念としての人権と、実定法化された人権とを区別する考え方。それぞれの法領域で実定法化されることによって、人権は、憲法においては国家の侵害に対抗する人権、民法においては私人相互間において保障されるべき人権という、それぞれに固有の任務と位置価値を帯びることになる。 小山「作法(第3版)」138頁
照射効 基本権の間接適用のこと。基本権という陽光に照らして私法規定を解釈せよという要請。行政法や刑法の合憲限定解釈(憲法適合的解釈)と本質的に異ならない。 小山「作法(第3版)」139頁