平和主義原理関係の定義集

Pocket

 

【平和主義原理】

 

 

☆☆ 「戦争」(9条1項) 宣戦布告または最後通牒によって戦意が表明され戦時国際法規の適用を受けるもの。広くは、国家間における武力闘争。 芦部(第6版)56頁
☆☆ 「武力の行使」(9条1項) 宣戦布告なしで行われる事実上の戦争、すなわち実質的意味の戦争 芦部(第6版)57頁
☆☆ 「武力による威嚇」(9条1項) 武力を背景にして自国の主張を相手国に強要すること 芦部(第6版)57頁
☆☆ 戦争放棄の射程(2項全面放棄説、遂行不能説、通説、政府解釈) 「国際紛争を解決する手段として」の戦争とは、国際法上の通常の用語例によれば、侵略戦争を意味する。これを前提に、1項で放棄されているのは侵略戦争のみと理解する。ただし、2項において一切の戦力の保持が禁止され、交戦権も否認される結果、自衛戦争も含めた一切の戦争を遂行する事が出来なくなる、とする立場。 読本(初版)38頁
戦争放棄の射程(1項全面放棄説、峻別不能説) およそ戦争はすべて国際紛争を解決する手段として行われる、との歴史認識を背景として、日本国憲法には開戦規定等の戦争を想定した規定がない事を理由に、「国際紛争を解決する手段として」の戦争を、日本国憲法独自の意味として、すべての戦争を意味する、と理解する。その結果、1項において一切の戦争が放棄される、とする立場。 読本(初版)38頁
戦争放棄の射程(限定放棄説) 「国際紛争を解決する手段として」の戦争とは、国際法上の通常の用語例によれば、侵略戦争を意味する。これを前提に、1項で放棄されているのは侵略戦争のみと理解する。さらに、2項冒頭の「前項の目的を達するため」という文言を、侵略戦争放棄の目的を達するため、と理解し、2項は自衛のための戦力保持は禁止していない、と解する。それゆえに、結局9条は侵略戦争のみを放棄している、とする立場。 読本(初版)38頁
☆☆ 自衛権 外国からの急迫または現実の違法な侵害に対して、自国を防衛するために必要な一定の実力を行使する権利。国際法上、主権国家であれば当然に自衛権を持つと解されている。 芦部(第6版)59頁、読本(初版)41頁
自衛権発動の三要件(政府解釈) 急迫不正の侵害、他の適当な排除手段の不存在、必要最小限度の実力行使 読本(初版)41頁
「武力なき自衛権」論 主権国家である以上、自衛権は憲法によっても放棄し得ない。しかし、9条2項は警察力を超える実力である「戦力」や「武力」は禁止している。そこで、自衛権行使の方法として、警察力による侵害排除や群民蜂起等を想定し、9条はこれを許容するものと理解する立場。 読本(初版)41頁
☆☆ 集団的自衛権 他国に対する武力攻撃を、自国の実体的権利が侵されなくても、平和と安全に関する一般的利益に基づいて援助するために防衛行動をとる権利 芦部(第6版)60頁、読本(初版)43頁
軍隊 外敵の攻撃に対して実力をもってこれに対抗し、国土を防衛することを目的として設けられた、人的・物的手段の組織体 芦部(第6版)61頁
☆☆ 「戦力」(通説) 軍隊および有事の際にそれに転化しうる程度の実力部隊。その目的と実体(人員、装備、訓練、予算等)において警察力を超えるもの。 芦部(第6版)60頁、読本(初版)39頁
☆☆ 「戦力」(政府解釈、判例) 自衛のための必要最小限度の実力を超える実力(政府解釈)。また、わが国がその主体となってこれに指揮権、管理権を行使しうるものをいう。すなわち、外国の軍隊は、例えそれがわが国に駐留するとしても、戦力には該当しない(砂川事件判決) 芦部(第6版)62頁、読本(初版)41頁
☆☆ 「交戦権」(多数説) 交戦状態に入った場合に交戦国に国際法上認められる権利。具体的には、船舶の臨検・拿捕権や敵の兵力を兵器で殺傷する権利など。 芦部(第6版)67頁、読本(初版)40頁
「交戦権」(少数説) 国際法上、武力行使に訴える権利(国家として戦争を行う権利)。すなわち、文字通り戦いをする権利。 芦部(第6版)67頁、読本(初版)40頁

 

 

人道的介入 他国における、極端な人権侵害や、非人道的状況を中止させるために、ある国や国際連合が武力行使によって介入するということ。他国の人民の生命等をその国内の政府などの行為から救うことが目的とされているため、他国を第三国の侵略から防衛する集団的自衛権の行使の問題とは異なる。 渋谷「論じ方(第2版)」52頁
☆☆ 自衛権行使の要件 ①自国民に対する急迫不正の侵害の存在(違法性・緊急性の要件)、②他に手段がなくやむを得ずなされた行為(必要性または補充性の要件)、③侵害を排除するための必要最小限度の手段(均衡性の要件)を満たすこと。 渋谷「論じ方(第2版)」52頁、53頁