国民主権原理関係の定義集

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【国民主権原理】

 

 

前文 法律の最初に付され、その法律の目的や精神を述べる文章 芦部(第6版)35頁
★★★ 裁判規範(広い意味) 裁判所が具体的な争訟を裁判する際に判断基準として用いることのできる法規範 芦部(第6版)37頁
★★★ 裁判規範(狭い意味) 当該規定を直接根拠として裁判所に救済を求めることのできる法規範 芦部(第6版)38頁
☆☆ 平和的生存権 恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利(憲法前文2項)。平和を享受する権利 芦部(第6版)38頁、読本(初版)46頁
平和的生存権の裁判規範性(肯定説) 平和的生存権は人権の基礎にあってそれを支える権利であり、この権利を客観的制度として保障した規定が憲法9条であり、平和的生存権は新しい人権として、9条や13条などにより保障される。 読本(初版)46頁
☆☆ 平和的生存権の裁判規範性(否定説) 平和的生存権は、その抽象性ゆえ、主体・内容・性質・実現方法などの点で不明確であり、理念的権利に過ぎない。 読本(初版)46頁
★★★ 主権 ①国家の統治権②国家権力の属性としての最高独立性③国政についての最高の決定権、という三つの異なる意味に用いられる概念。 芦部(第6版)39頁、読本(初版)245頁
☆☆ 統治権 立法権・行政権・司法権を総称する言葉で、国家が有する支配権を包括的に示すことば。 芦部(第6版)40頁
★★★ 国民主権 国民の憲法制定権力(制憲権)の思想に由来するもので、国民が国の統治のあり方を最終的に決定し、また、国家権力を正当化し権威づける根拠は究極において国民であるとする概念。 芦部(第6版)40頁、読本(初版)247頁
君主主権 国の政治のあり方を最終的に決定する力または権威が君主に存することを指す概念。 芦部(第6版)40頁
★★★ 権力的契機 国の政治のあり方を最終的に決定する権力を国民自身が行使することを指す。直接民主制・プープル主権概念と密接に結びついている。 芦部(第6版)41頁、読本(初版)248頁
直接民主制 国民自身が直接に政治的意思を表明する制度 芦部(第6版)42頁
★★★ 正当性の契機 国家の権力行使を正当づける究極的な権威は国民に存することを指す。ナシオン主権概念・代表民主制、とくに議会制と密接に結びついている。 芦部(第6版)42頁、読本(初版)248頁
ナシオン(国民、nation 抽象的観念的存在としての国籍保持者の総体。主権の行使については、「国民代表」に委ねる必要がある。 読本(初版)247頁
プープル(人民、peuple 社会契約参加者の総体、政治に参加しうる年齢に達した者の総体としての人民。直接的に主権を行使しうる。 読本(初版)247頁
共和主義 それぞれの私的利益を顧みることなく、「公共善」の実現へ向けて協力することが、共同体の構成員の義務と考える立場。この立場からは、政治プロセスの核心は、構成員全員が対等に公共の場で討議し、公共善を発見すること、となる。 読本(初版)250頁
多元主義 国民全体の利益はアプリオリに存在するものではなく、国民の中の多元的な利益の交渉・取引の結果である、と考える立場。この立場からは、政治プロセスは、多元的な利益が結集した団体や企業が、議会を中心的な場に交渉・妥協を展開するゲームとして理解される。 読本(初版)250頁
象徴 抽象的・無形的・非感覚的なものを具体的・有形的・感覚的なものによって具象化する作用ないしはその媒介物 芦部(第6版)45頁、読本(初版)21頁
天皇の民事責任(判例) 「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であることにかんがみ、天皇には民事裁判権が及ばない」 読本(初版)22頁
天皇の刑事責任(通説) 皇室典範21条で、摂政は在任中訴追されない、との規定があり、この規定の類推解釈から天皇の刑事責任を否定的に解すべき 読本(初版)23頁
★★★ 国事行為(「国事に関する行為」、4条) 政治(統治)に関係のない形式的・儀礼的行為 芦部(第6版)47頁
☆☆ 国事行為概念の捉え方(A説) 国事行為の中には、形式的・儀礼的なもののみならず、それ自体としては実体的権限を内包するものもあるが、全ての国事行為に関し内閣の助言と承認が必要とされる(3条)結果、内閣に実体的権限が帰属し、天皇には形式的・儀礼的な行為のみが残る、と考える立場。衆議院の解散の実質的決定権の所在に関する7条説の前提となる。 読本(初版)25頁
国事行為概念の捉え方(B説) 国事行為はすべて、本来的に形式的・儀礼的行為である、と考える立場 読本(初版)26頁
☆☆ 衆議院の解散の実質的決定権の所在(7条説、実務) 内閣が「助言と承認」を行う前提として行為の実質的決定を行っても、その結果として天皇の国事行為が形式的・儀礼的なものになるならば、憲法の精神に反しない、という理解を前提に、憲法7条3号の衆議院の解散という国事行為に対する内閣の「助言と承認」を根拠として、内閣に自由な解散決定権が認められる、とする。 芦部(第6版)50頁
天皇の行為類型(三行為説、実務) 天皇の行為類型には、私的な会食等の私的行為、公的行為としての国事行為のほかに、象徴としての地位に基づく行為が認められる、とする立場。象徴としての天皇は人間である以上、一定の行為をすることは、もともと憲法が予定しているから、と説明される。 読本(初版)27頁
天皇・皇族の人権享有主体性(A説) 人権とは人であれば当然に認められるものであり、天皇・皇族も人である以上、人権は保障される。ただし、憲法が世襲制に基づく象徴天皇制を認めていることに鑑み、それに由来するやむをえない制約は、憲法上許容される、と考える立場。 読本(初版)34頁
天皇・皇族の人権享有主体性(B説) そもそも人権は、身分的階層制を否定して、人をその所属する身分集団によってではなく、「人一般」の立場によって規定したときに初めて認められるものである。しかし、世襲に基づく象徴天皇制は、この原則に対して憲法自身が認めた憲法自身が認めた例外領域であり、天皇・皇族には人権は妥当しない、と考える立場。 読本(初版)34頁
皇室財産 天皇の財産(御料)および皇族の財産 芦部(第6版)52頁
内廷費 天皇・内廷にあるその他の皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てるもの、すなわち御手元金となるもの 芦部(第6版)53頁、読本(初版)32頁
宮廷費 内廷諸費以外の宮廷諸費に充てるもの 芦部(第6版)53頁、読本(初版)32頁
皇族費 各宮家の皇族としての品位保持の資に充てる等の為にあるもの 読本(初版)32頁